民主党政権誕生と教育政策
民主党政権が誕生した。
私は、この夏の講演で、いくつか「もし民主党政権が誕生したら、大きな教育改革が起こるでしょう」と話をすることがあった。
すでに、「教員免許更新制廃止」を提言している。
こういう悪法は、何とかしなくてはならないと思っていたので、すぐにでも実現できることを願っている。
さて、どういうことになるのであろうか。
「民主党政策集INDEX2009」の教育分野の部分を読む。
民主党の教育政策の集大成である「日本国教育基本法案」には、次のようにある。
- 何人にも「学ぶ権利」を保障
- 普通教育の最終的な責任が国にあることを明記
- 幼児期および高等教育において無償教育を漸進的に導入
- 地方の教育委員会を発展的に改組した「教育監査委員会」を創設し、教育行政の責任を首長に移管
- 教育予算の安定的確保のため、教育財政支出について国内総生産(GDP)に対する比率を指標とする など
「教育の責任の明確化」ということで、国の責任と市町村の役割を明確にした教育制度を構築しようとしている。
そこで、大きく変わることは、1つに現行の教育委員会制度の抜本的な見直しであり、2つめには、学校は、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家などが参画する学校理事会制度にしようということである。
また、国の役割を(1)学習指導要領の全国基準を設置 (2)教育に対する財政支出の確保 (3)教職員の確保や法整備など に限定し、あとは最終的に地方公共団体が行使できるようにする。
ここで、文科省という役所をなくし、中央教育委員会にしようという提言である。
教員の確保についてはどうか。
「教員が職責を全うできるように、教員免許制度を抜本的に見直します。教員数を拡充するとともに、教員の養成課程は6年制(修士)とし、養成と研修の充実を図ります。教員が子どもと向き合う時間を確保し、教育に集中できる環境をつくるため、経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国平均水準並の教員配置(教員一人あたり16.2人)を目指し,少人数学級を推進します」
★
多分、民主党は、この線に沿って、教育制度を変えていこうと模索するであろう。
私は、現行の文科省や教育委員会制度が、このままでいいわけはないと常々思ってきた。
自民党の賞味期限が切れたように、現行の教育制度の賞味期限も、切れていると、私は思っている。
文科省(かつては文部省と言った)が今まで出してきた教育政策で、「これは大いに成果があった」と言えるものがあったであろうか。
少なくとも私が現場教師として過ごしてきた37年間は、一つとしてなかったと言っていい。
反対に、右に左に振り子を振り回して、現場を混乱させてきた。
その責任をいっこうに明らかにせず(総括をほとんどせず)、次から次へと新しい政策を実行して現場を混乱させてきた。
だから、「教員が子どもと向き合う時間を確保し、教育に集中できる環境をつくる…」と書かれてあるところを見ると、うれしくなるところである。
だが、だが、これはあくまでもこれからの方向にしかすぎない。
これから民主党は、文部官僚の壁にぶちあたる。
多分、さまざまな対応を検討し、さまざまな阻止策を準備し、迎え撃たれるであろう。
その壁を越えて、いくつの方策が実行されていくであろうか。
まことに心許ないことである。
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