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多忙化の嵐に備えよ

  先日の京都「明日の教室」のパネルディスカッションで注目する発言を聞いた。

 京都橘大学の理事長の梅本先生が、言われたことである。

 精神医学者の中井久夫先生が、本に書かれていることの紹介だった。

「自分が、夜、家に帰って患者のことを思い出すようなことがあったら、担当を変わらなければいけない。そうしなければ質の高い医療を保つことができない」

というような紹介だったと思う。(精神医学の領域で、中井久夫さんが果たしてきた仕事の重さは知ってはいたが、今までこの人の本を読むこともなく過ごしてきた。)

 これは、私たち教師の場合にも、当てはまることだなあと思いながら聞いた。

 それ以来、ずっとこの言葉が、心に残っている。

 これから中井先生の本を読まなくてはならないと思っているところである。

 ★

 私は、教師として、このことができたのかどうか、振り返ってみた。

 できた場合もあり、できなかった場合もあったなあということである。

 ただ、意識していたことだけは確かである。

 私は、若い頃から管理職にならないと思っていたので、教師として長続きするコツを考えなければいけなかったことがある。

 その一つは、学校での自分と、家に帰ってからの自分をきちんと区別することだった。

 学校では、精一杯子供のことを考え、子供のためにさまざまな実践をする。退職まえの2年間ぐらいは、分刻みのような生活だったし、休み時間もほとんどないぐらいの生活をしていた。

 家へ帰ると、すぱっと忘れる生活に切り替える。

 そのように最初は努力した。いつのまにか自然にできるようになっていたと思う。

 そのために、家で学級通信を書くというようなこともやめてしまった。

 学級通信は、学校だけで書くようにしてきた。

 クラスの子供の話題を夕食の時、持ち出すということもほとんどしなくなっていた。

 ★

 私のような教師のあり方は、ある意味では、否定的にとらえられるかもしれない。

 5時になればさっさと帰り(実は私もそうであったが)、あとは趣味に生きるというような過ごし方をしている教師たちも、確かにたくさんいる。

 その人達は、ともすれば学校の仕事は適当にこなして、さっさと学校から離れていく仕事ぶりであった。

 その適当というのが、困ったものである。自分に与えられた仕事をきちんと果たせば文句が言えないところである。しかし、それはいい加減で、ある年代になっても学校の重要で、大変な仕事からは逃げまくっていく。

 私は、そんな人を何人も見てきた。

 学校の仕事は、単なる給料のための仕事と割り切り、勤務時間外の時間を楽しむという、いわゆるサラリーマン教師である。

 この人たちも、確かにきちんと割り切ってはいる。

 それがどこが悪いのだと言われれば困ってしまうのだが……。(笑)

 しかし、はっきりしているのは、こんなサラリーマン教師が、これからの教育界では生きていけなくなる。

 ★

 授業づくりネットワーク編集部から依頼原稿がきた。8月号である。

 執筆テーマが、教師のための仕事術。

 特集のねらいに次のように書かれたあった。

「教師の多忙化が半端でなくなっています。

 原因は、3つ。子どもたちの変化、保護者のクレーム、そして書類づくりです。

 特集では、教師の質を上げていくための知恵を集めます。…」

と書かれてあった。

 まさにその通りである。教師の多忙化が半端でなくなっている。

 新しい学習指導要領の実施へ向けて、学校は慌ただしい動きをしている。

 6時間授業が増え、小学校の先生達は、英語が増えていく。(横浜は、小一から英語が加わってくる)

 ますます先生達が、子どもたちから離れ、教材研究から離れ、会議と研究会などに時間を奪われていく。

 毎日毎日8時、9時、10時という時間まで仕事がかかってしまう。

 そのまま家に帰り、遅めの夕食を取り、風呂に入り、すぐに寝てしまうという生活。

 ここには、自分ための「自分の時間」は、ほとんどありえない。

 この多忙化にそのまま身を任せていたら、学級が荒れ、ストレスが増え、精神に異常をきたしていく。今でも、教師は、普通のサラリーマンの3倍、鬱病に罹る人が多いのである。

 ★

 これからの先生達は、もっと身構えなければいけない。とりあえずは、次のことはきちんとやっていかなくてはならない。

 第一に、仕事術を身につけること。(早く仕事を終えていく仕事術)

 第二に、私が言う「学校の時間」と「自分の時間」をきちんと区別する。そのように努力していく。用もないのに、だらだらと学校へ残っていくことをしない。

 学校の管理職、学校の中心を担っている先生達は、会議や行事や研究会をできるだけ減らして、先生達が、子供達とふれ合う時間やほっとする時間を多く設定してほしいことである。

 これから学校を覆っていく「多忙化の嵐」は、半端ではなく、多くの先生達の精神をすり減らしていく大変さを抱え込むことになる。

 

  

 

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