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挙手発言、名前カードのこと

  先日、Y先生と品川で会った。

 他の用事で東京に来られていて、そのついでに会いましょうということで、4人で飲み会を設けた。

 Y先生と会うときは、いつも刺激的な話を準備をしておられて、私はそれに耳を傾けることになる。

 今回もとても刺激的な話を聞いた。

 2つあった。管理職として、先生達に2つのことをお願いしたという話である。

 1つは、挙手発言をさせないで、他の方法で授業を構成していくこと。

 2つ目は、名前カード(磁石)を活用した授業の工夫。

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 私も、初任者指導を担当しながら、とても気になっていたことであったので、話の内容がとてもよく胸に響いた。

 まだ先生達が行っている授業の現状は、挙手発言に乗っかっている授業が大半であるということだ。

 それも、5,6人の挙手で、授業が進んでいく。後の子たちは、ただただその子達の発言を聞いているだけの授業である。

 少なくとも私の教師生活は、全員参加の授業をどのように実現していくかが大きな課題であり、そのためにどのような手立てを打っていくかを工夫しなければいけなかった。

 こんな課題が、多くの教師達の課題にならなかったというのは、何なんだろうか。

 これは深く検討する必要がある。

 私の37年間の教師生活の間で、先生達の授業はほとんど向上していないと言い切っておきたい。

 それは、何故なんだろうか。

 Y先生は、「挙手発言をさせない」という形で、教師達に考えさせようとされた。

 唸るほどのいい手である。

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 そうすると、先生達はどうするのだろうか。

 多分、呆然となるに違いない。発言は、挙手以外に考えていないからである。

 野口芳宏先生は、「授業で鍛える」(明治教育新書)の中で、次のように書いておられる。

「挙手した子どもの誰かを指名しながら授業を進行していく方式が、一般に広く普及している。この方式を疑ってかかる人も少ない。

 しかし、『挙手ー指名』という方式では子どもの学力は十分に伸ばせない。とりわけ、発表技術は伸ばせない。仮に伸ばせても、それは、挙手して指名された子どもだけである。挙手しない子は、指名されないのだから、発表の機会を与えられない。この方式を疑い、この方式から抜け出さなければ子どもの発表技術は鍛えられていかない」

 1986年(今から23年前)に、このような提言を野口先生はしておられる。

 しかし、この提言が、多くの教師達の教育実践には、まったく生かされなかったということである。

 ★

 もうひとつY先生は、名前カードを問題にされていた。

 名前カードを使い、子供達の考えたこと(ノートに書いたことなど)を黒板に書かせていくのである。

 私も、授業で存分にこの名前カードを使い、子供達に意見を黒板に書かせることをした。

 名前カードは、最低2つを準備しておいた。

 どうしてこの名前カードをもっと授業に活用しないのだろうというのが、私の疑問であった。  

 私は、ほとんど子供の発言は、子供達自ら黒板に書かせるような授業構成にしていた。

 子供達の発言を教師がまとめて板書していく方式は、ほとんどとらなかった。

 そのために、黒板と子供達の間に教卓を置くなどというのは、もう20年以上前にやめていた。

 ところが、今でも黒板の前に教卓があるクラスは数多くある。

 授業で、黒板を子供達に開放していないのである。

 Y先生は、「名前カードを作り、黒板にカードをいつも貼っておくようになるのに半年かかりました」と言われていた。

 机にカードを貼っておくクラスがある。これでは意味がない。

 ★

 「新しい学力観」が出されて、ゆとり教育が始まった。もう20年前になろうか。

 この20年間の間に、基本的な授業技量は、ほとんど向上しなかった。

 それは何なんだろうか。

 改めて、その問いかけが私たちに突きつけられている。

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コメント

私も最近野中先生と同じことを「ようやく」考えていました。
発問なしの授業は成立しうるか?
先日、ちょっと意識してやってみたのです。
でも、難しい。
つい確認したくなってしまうのです。
中学校教師の性でしょうか?
「定期テストの範囲」とか
「入試対策になっているか」とか
考えてしまうのです。
でも、挙手発言のない授業は、考えてみる価値がありそうです。
Y先生はどんな授業をイメージされているんでしょうねえ。
今日、先生のこのブログ記事を「自主公開授業研究六月号」で紹介させていただきました。
先生方の反応をいずれご報告します。

投稿: 合田淳郎 | 2009年6月16日 (火) 20時36分

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