いんこのぴーが亡くなりました
私的なことを書いておこう。
インコのぴーが亡くなった。22日(月)のことである。もう1週間になろうとしているが、心穏やかではない。
落ちこんでいる。たかが、鳥であり、ペットにしか過ぎないが、家族同様に過ごしてきて、かけがえのない存在だったので、自分の身が削がれる思いになっている。
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ぴーは、最初大池小の鳥小屋で飼われていた。しかし、いじめられて、一緒に飼えなくなり、職員室で一ぴきだけ飼うことになった。2年間職員室にいた。
年齢も、男女も不詳である。たぶん、10年以上は生きていることは世話をしている先生達によって確認されていた。
私によく慣れていた。
ある年、世話を良くしている先生のお父さんが亡くなり、正月をどうしていこうかという話になった。
私が、正月だけ家に連れて行き、飼うということに決まった。
しかし、それ以降、ずっと私の家に住み着いたことになる。
いつも私の帰りを待っていて、私が帰ると「ぴっ、ぴっ」と小屋から出せ、出せと要求した。
私の左手の中に入ることが大好きだった。
いつも、私がソファーで寝そべるとき、私の胸の上にいることを好み、二人(?)でウトウトとすることを日課としていた。
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先週の土曜日(20日)のこと。いつものように、私が左手に抱こうとしていると、突然右の羽の下から大出血をした。
あわてて、血止めをして、近くの動物病院に運び込んだ。
今までも何回か出血をすることがあったが、その都度自分でうまく回復させていた。
しかし、今回の出血は、そういうものではなかった。
輸血はできない。ただ、これ以上出血するのを防ぎ、血液ができるのを待つ以外にない。
医者は、右の羽にテーピングをして固定した。動けない。
そのまま家へ連れてきて、様子を見る以外になかった。
3時間ぐらいぐったりと眠る以外になかったのだが、その日、夜中に元気になり、ばたばたと暴れることを繰り返した。
翌日、このままでは餌も食べることもできないと思い、医者に連れて行き、テーピングを取ってもらうことにした。医者は反対だったが、今までもそのようにして回復してきたので、ぴーの生命力に期待することにした。
その日は、夜に元気になり、えさ箱にかじりついて、必死に餌をついばもうとする仕草を繰り返した。
ぴーにも、餌を食べることが生きながらえることなのだということが、本能で分かっていたのだと思える。
しかし、やはりいつものように食べることができなかった。でも、1時間ぐらいえさ箱から離れず、必死に食べようとした。それは異常のように思えた。
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22日(月)の日。私は、勤務があったので、学校へ出かけた。
その日、一日中ぴーは、女房の手で過ごし、べたべたと甘えたという。少しでも小屋へ入れると、すぐ「ぴっ、ぴっ」と呼んで、来てくれと催促して、買い物にもいけない状態だったらしい。電話をすると、「元気だよ」ということであった。
夕方、私が帰ってくるのを必死で待っていたのだと思う。
「ぴーただいま」と声をかけると、箱の中で、ぐったりと横たわっていた。
「今まで元気だったのよ」と料理を作る女房の声だが、私に対する反応がない。これはおかしいと抱え上げると、ぐったりとしていた。
それからである。
私の手に包み込んで、湯たんぽで暖め、暖め、………。
それでも、しばらくすると私の手をつつくぐらいの元気さを回復した。
私と女房に、交互に抱かれながら、さかんに手をつつき、最後の元気さを振り絞っているように思えた。
しかし、だんだんその元気さがなくなってきた。
水で薄めたお湯を飲ませた。しばらく、おいしそうに飲み干し、何度も口をぱくぱくさせて、あたりをきょろきょろと見回し、……体が硬直していった。
眠るように、満足した顔つきで静かに息をひきとった。大好きな私の左手に抱かれながら……。
22日(土)の午後9時になっていた。
3年と6ヶ月、私の家にいたことになる。
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それからもう1週間になろうとしている。
私たち夫婦は、自然にぴーがいた鳥小屋に目が行き、ぴーの鳴き声に耳を傾ける。
私たち夫婦の日々に、どっしりと腰を下ろして、彩りを添え続けた。
私たちの言葉のいつくかにはきちんと反応し、小屋から出てきて、ちょこちょこ歩き、別の部屋にいる私たちを迎えにきて、こっちへ来いと呼びかけたのである。
その姿をもう二度と見ることができない。
★
ぴーは、玄関の扉のそばに埋められている。
毎朝、女房は、そのお墓に大好きだったとうもろこしや小松菜をあげている。
そして、さかんに、話しかけている。
静まりかえった部屋で、ぴーとともに作り上げてきた日常を、また新しい日々に変えていかなくてはならない。
ここ2,3日の暑さは、もう本格的な夏の到来を思わせる。
しかし、ぴーがいない夏をどういうように過ごしていくのか、私はまだ想像できないでいる。
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