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「その日暮らし学級経営」を乗り越えていくための手立てとは?

  初任者担当の仕事を始めて二年目になった。

 クラス担任をしているときと大きく違うことが1つだけある。

 さまざまなクラスの様子がよく分かることである。

 そのことで愕然としたこともある。

 「ほとんどの先生達が、まだまだ『その日暮らし学級経営』をしているんだ!」

という事実。

 「その日暮らし学級経営」とは、私が名付けたものである。

 それは、4月の最初に学級の係を決め、あとは行事と授業でその日を送っていく学級経営の方法である。

 このような学級経営法では、学級崩壊を絶対乗り切ることはできないと警告を発してきた。

 ★

 都市部では、多くの若い先生達が、学校に入っている。

 横浜は、もう学校教職員の半数以上が、5年以下の先生達で構成されようとしている。

 この若い先生達も、「その日暮らし学級経営」をしている。

 私は、もっと期待していたところがある。何らかの工夫をしているのではないか、と。

 そうではないだろうか。

 これだけ学級崩壊は広がり、「明日は我が身」となることはもうすぐそこまで来ているはずだから。

 若い先生たちのクラスは、4月、5月あたりが一番良い状態である。

 だんだん悪くなる。

 クラスが終わろうとする三学期(1月、2月、3月)には、さまざまなクラスの問題が噴き出てきて、「ちょっと困ったな」という状態になる。

 落ち着いている学校での、普通のクラスの状態である。

 「学級崩壊にはなっていないからいいか」と、考えられる。

 でも、こんなことが続くはずはない。

 ★

 何がだめか。

 「その日暮らし学級経営」をしているクラスは、クラスの高まりがない。「群れ」のままに過ごし、「群れ」のままに終える。

 「集団」になることがない。

 「集団」になるとは、私の場合、子供達が自分たちでクラスを動かしていくことができる状態を考えている。

 自然に「集団」になるはずはない。担任が、「群れ」を「集団」にする手立てを講じなければいけない。

 それをやっていない。いや、正確には、そういう「手立て」を持っていないのである。

 ★

 「学級経営力を高める3・7・30の法則」(学事出版)が3版になった。

 今でも読んでもらっていることは、ありがたいことである。

 これを書きあげた時には、まだ「縦糸・横糸」理論はなかった。

 だから、今ではもう少し違う書き方になるであろう。

 ここで学級経営に必要な5つのコツを提起している。やろうとすれば、誰でもができるコツである。

 ①学級の仕組みづくりのコツ(3・7・30の法則)→縦糸を張ること

 ②学級を「集団」として高めるコツ(目標達成法)

 ③個別対応を意図的に行うコツ→横糸を張ること

 ④交流活動を組織するコツ(会社活動)→横糸を張ること、「集団」化すること

 ⑤秩序ある教室づくりのコツ

 ②と④が、とりわけ私が提起した「集団」化への手立てであった。

 ★

 指導している1年生の先生に、「目標達成法」を教えた。その先生は、10月から始めた。

 最後は、11個の達成であった。クラスも、見事な状態になった。1年生としては申し分のない状態である。

 「目標達成法」だけで、その状態を作り上げたわけではないが、しかし、関与したことだけははっきりしている。

 たとえば、目標は、次のようなものであった。

「ぎゅうにゅうをじぶんでかたづけよう」

「たつときやすわるときにおしゃべりをがまんしよう」

「げたばこでは、上のだんにうわばきをいれよう」

「かかとをおらずに上ばきをはこう」

「きゅうしょくのかたづけははんできょうりょくしよう」

 クラスで問題あることを先生が目標化して、一度に2つの目標を掲げて取り組ませたものである。

 目標は、具体的であることが必要である。確認ができるもの。

「ことばづかいに気をつけよう」「時間にきをつけよう」などという抽象的な目標は良くない。

 どこで、何を、どうすればいいかが明確なものを作り上げることである。

 確認は、終わりの会。全員、顔を伏せさせて、「今日、目標を達成できたかどうか」に手を挙げさせるのである。

 顔を伏せさせるのは、「できていない」と手を挙げるための方策である。(全員が見ている前では、「できていない」と手を挙げにくいためである)

 40人のうちで、37人以上達成できれば、「目標達成」としていた。全員達成という完璧主義はとらない方がいい。

 低学年は、こういうことでいいと思う。

 中学年になったら、2日間連続としたらどうだろう。

 高学年なら3日間連続か5日間連続ということでどうだろう。

 私のクラスは、2週間であった。

 多くの「目標達成」がそれこそ目標であるから、「ほとんどみんなができた」という状態を多く作り上げていくことである。

 5つ目標が達成できたら、「席替えをしよう」とか、10個目標を達成したら、「目標達成パーティをしよう」とかのご褒美を設けることも必要である。 

 この目標達成法は、多くのクラスで取り組んでいただいた。とても効果的な方法だという連絡を受けている。

 ★

 組織には、目標が必ずある。それも、実現をする目標である。

 掲げてあるだけの目標は、何の意味もない。

 その目標を達成することで、「群れ」の状態のクラスを「集団」にしていくのである。

 このように「群れ」を「集団」にしていく手立てをいくつも持っておくことが、とりわけいま担任に求められていることだと、私は考えている。 

 

 

 

 

 

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コメント

初コメントさせていただきます。
今年大学を卒業し、今兵庫県の4年生担任をしています。こちらの日記を読みハッとさせられました。

私のクラスは比較的落ち着いたクラスなんですが、どこか活気に欠け、私任せな部分があるな…と最近感じていました。そんな中こちらのサイトを見て『私のクラスはまだ群れだ…』と実感しました。
明日から集団となるよう取り組みたいと思います。ありがとうございます。

投稿: はじめまして | 2009年5月12日 (火) 18時05分

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