怖い話の定番としての理科室
火曜日は、初任者担当の午前中出勤。職員室で事務仕事と教材研究の日となっている。
1年生の教室をのぞいてみる。教室へ入ると、休憩時間になっていて、数人の子供達がとびついてくる。
「水曜日に来るって言っていたのに、どうして火曜日に来たの?」と思い思いに話しかけてくる。
担任の先生に時間を確認して、お話の時間にしてやる。
「今から野中先生のお話の時間です。すぐ席に着きなさい。ちょっと怖い話をします」
と言って、話し始めた。1年生は、お話が大好きなのだ。
最初は、盛んに笑わせて、一気に怖くなる。と言っても、低学年に怖い話は禁物である。熊が出てきて、1年生の男の子を食べそうで、食べられない話である。
★
37年間、ずっとお話を子供達にしてきた。
娘が寝るときも、一緒に添い寝して、ずっとお話をしてやった。
子供達を話の中に引き込むには、事件の舞台が思い浮かべられるように描いてあげることが必要だと分かるようになった。
例えば、その学校へ行ったならば、怖い話の定番として理科室を取り上げる。
「この学校は、30年前管理人さんがいて、夜、この学校の見守りをしていました。
夜9時、12時、朝の4時に学校中を見守るのです。その管理人さんは、86才になられているのですが、まだ元気に、あのゴルフ場のそばの畑を耕して、大根作りをしておられます。
私の家は、あの近くですから、その管理人さんをよく知っています。その管理人さんがあるとき話をしてくれました。『先生、夜の学校は怖いよ。あの事件が起こってから、私はすぐに管理人を辞めてしまったよ。先生、この話は他の人には言わないでくれよ』と、その管理人さんは、私に話してくれました。
今日は、特別にみんなにその話をしてあげます。他の人には絶対言ってはいけませんよ。」
このように話を始める。全部、作り話である。
しかし、まことしやかであろう。
事件の舞台を固有名詞や数字、近くの場所など(30年前、管理人さん、86才、ゴルフ場のそばの畑、大根作り、9時・12時・4時)をまき散らして設定する。
これで、子供達の頭の中の映像を生き生きと動かしていくのだ。
★
考えてみれば、人に話をするというのは、このように舞台設定をしていくことである。
いつ、どこで、だれが、だれと、何をしたか。それは、どのような様子だったか。
この基本的な話の中に、固有名詞や数字、その周辺の場所などを細かに加えていけばいい。
低学年の懇談会で、保護者に子供達の様子を話すとき、この手法を用いて話してあげることである。
そうすれば、懇談会がにぎやかになることは間違いない。
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