笑わせて、ぐっと締めて、何度も誉め、その気にさせる
冷たい雨が降る一日。午後からは、「卒業を慶ぶ会」であった。
体育館に、保護者と教師達と6年の子供たちが、ぎっしりと詰めて、開会を今か今かと待っている。
6年1組、2組、3組の合奏、合唱をメインにして、その間に、1年から6年までのスライドで綴る思い出のアルバムが映し出される。
そこへ先生達の合奏と合唱が入ってくる。
6年の子供たちは、素晴らしかった。
中でも、1組の「秋」の合唱は、多分日本中のどのクラスを探しても、このような合唱を披露してくれるところがないのだと確信を持って言えるほどのできばえだった。
クラスで、このようなレベルの高さを作り上げられるとはなんということであろうか。
★
3組の合唱のあとに、クラスのみんなは、一斉に「○○先生、ありがとう」と、担任の名前を呼び上げた。
他のクラスの子供たちは、「○○先生、どこにいるんだ!」と、それぞれに探している。
もう6年生全体の子供たちが知っているのだ。
○○先生(4年目の男の先生)は、先日、クラスでの卒業式の練習で、自然に泣けてきて、それを子どもたちに知られて「恥だ、恥だ」と職員室で叫んでいた。
私は、「今からそんな状態じゃ、呼名の時は、大変だよ。一度だけ呼び上げられなくて交代した人がいたからなあ」と脅かした。
それでも、子供たちは、きっと○○先生のことをますます好きになっているのだと思う。
私は、いつも笑って子供たちを見送ったので、子供たちは、何ともさびしかったのではないかと思う。
担任が、このように別れを悲しんであげることは大切なことである。
★
一日、2年生のクラスに入った。担任の先生が、熱を出して休まれたためである。
教室に入ると、「あっ、もなか先生だ!」と、口々に騒いだ。前にも、補欠に入ったことがあったのである。
「怖い話をして!汚い話でもいいです」という連呼。
前にも、このクラスの担任の先生から「どんな話をされたんでしょうか。教室へ行くと、みんな口々に野中先生のことを話すものですから」と。
1時間目は、算数のドリル。その後、10分間だけ「怖い話」。
2時間目は、書写。その後、20分間だけ「おもしろい話」。
3時間目は、「このつぎなあに」(山中恒)の読み聞かせ。その後、図書。
4時間目は、誕生会のプレゼント作り。
そして、給食。実にスムーズにトントンと進む。
このクラスを1ヶ月でも貸していただければ、それこそ「おもしろいクラス」に仕上げてくれるんだが、とふと思う。
笑わせて、ぐっと締めて、何度も誉め、その気にさせる。
理想主義者を相手にするというのは、こんなにも楽しい出来事である。
★
山口の中村健一先生から「73のネタ大放出!」(黎明書房)を送ってもらう。
早速少し読む。中村先生は、授業づくりネットワークのお笑い同盟の一員である。
彼のパフォーマンスは有名である。
読みながら、完全に「横糸作りだ」と思った。
さまざまなネタには、それぞれに笑いがある。この笑いを作るということは、実はもっとも初任の先生達の苦手とするところである。
ここで紹介されてあるネタを知っているかどうかで、きっと教室は、変わってくるはずである。
だから、私は、これからおおいに初任の先生達に紹介したい本である。
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