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仲がいい職員組織を作ろう

   東京都の教育委員会は、12日、都議会の予算特別委員会で、休職している公立学校教職員のうち精神系疾患を抱えている教師が、約7割にのぼり、年々増加していることを明らかにしている。

 15年度は、約6割で259人、19年度が、やく7割で416人としている。

 全国平均が、19年度で約62%だから、東京都は、平均よりも上になっている。

 現場に長く勤めてきた経験から言えば、まったく驚くことはない数字である。

 今、はっきり言えば、現場にいる20人以上の職場では、2,3人の先生が、精神科の医者にかかっていると、私は思っている。

 密かに病院通いをしている。

 先日の新聞記事で見たのだが、精神疾患の率は、普通のサラリーマンよりも教師は、3倍以上の多さであるらしい。

 都教委で、改めて検討会を設置し、対策を見直すとしている。

 しかし、有効な対策などないであろう。

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 原因は、はっきりしている。

 子供と親と忙しさである。

 クラスの中で、やりたい放題に振る舞う子供がいて、理不尽な要求をつきつけてくる親がいて、そして、コマネズミみたいに働くことを強いてくる教育行政の課題である。

 それに対して、教師集団が互いに支え合う組織になっていない。先生達が、ばらばらになっている。

 そこが、なおさら問題をややこしくする。

 対策は、これに対して有効な手立てを講じていけばいい。

 だが、きっと有効な手立てなど打てないであろう。

 ここまでは、誰でもが指摘し、誰でもが嘆く。そこで終わりである。

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 学校組織で、いま最も考えなければいけないこと、集中して取り組まなければいけないことは、仲がいい職員集団を作り上げることである。

 私は、ブログで何度もこのことを指摘してきた。

 私の最後の勤務校であった大池小学校は、掛け値なしにこのことができていた。もちろん、単なる仲良し集団ではなかった。

 北海道の石川晋さんが、大池小へ来たときも、このことを指摘してくれた。

 晋さんは、校長室から職員室をずっと見ていた。そして、私に言ってくれた。

「野中先生、先生達がよく話していますね。学校によっては、職員室でまったく職員同士の会話がなく、逃げ出したくなるところがあるのですよ」

 大池小は、単なる仲良し集団ではなかった。きちんとした仕事をベースにして、職員が打ち解け合っていた。

 その職員集団で、全校百人一首大会、30分休み、クロスカントリー大会出場(100人以上の参加)、授業分割法、計算タイム、音読タイムの創設、徹底した行事の精選、全校児童の卒業式参加、……さまざまな新しい試みが生み出されていった。

 忙しい学校ではなかったのか、と思われるが、そうではなかった。

 校長の姿勢が素晴らしかった。いつも教師がやりやすい仕事環境を作ることに心を砕かれていた。

 だから、9月は、まったく行事と会議を入れず(学年研だけ)、先生達が、「あゆみ」や子供達との対応に専念できる時間とされた。(8月下旬に9月の行事は全て終えておく)

 大池小を離れて1年が過ぎた。

 ますます学校組織は、仲がいい職員組織を作ることに集中して行かなくてはならないと考えるようになった。

 重点研で教科の研究をする重みと同じように、職員の和を作り上げる試みに取り組まねばならない。

 職場(もうこういう言葉が死語になっているが)は、対立と論争の時代から融和の時代へと矛先を変えていかなくてはならないのである。

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 「怯えの時代」(内山節著 新潮選書)を読んだ。

 その中で、内山は言っている。

「本書のなかで私が述べようとしたことは、近代から現代へ向けての発達原理が今日では劣化原理として働いている、ということである。だから近代的な枠組みを再構築することによっては、現在進行しはじめた劣化をくいとめることはできない…略…とすると問わなければいけないことは、私たちはどうしたら劣化の連鎖から抜け出すことができるのか、である」

 そして、内山は、次のように方向を提起する。

「…私たちは自分たちが生きている時空を語り、そこにどのような存在の世界を創造したらよいのかから、思考をはじめる必要があるのだと私は思っている。あまりにもバラバラになり、あまりにもボロボロになってしまった私たちが生きている時空。この劣化した時空をどうつくり直すのかから、私たちは歩みをはじめるべきなのではなかったか。

 私はその出発点に『連帯』という言葉があるように思う。結び合うこと、助け合うこと、支え合うことである」

 「連帯」という言葉は、ほとんど死語化していたものであるが、内山はあえてその言葉を持ち出して、いま必要な何かを提起している。   

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