来年度へ向けての布石を打っている
「縦糸・横糸」理論が広がっている。うれしいことである。
そこで、この理論が一人歩きをしていく(そうなってもいいという意見もあるが)場合があり、ここらで一応の理論付けをしておいた方がいいのではないかと、私が横藤雅人先生に提案して、急いでいくらかまとめてみた。(もちろん、まだまだ試案の段階である)
1、定義
A、縦糸…教師と生徒(児童)との上下関係づくりである。
B、横糸…教師と生徒(児童)との通じ合い、心の通い合いである。
2,内容
A、「縦糸を張る」とは、次のようなことを言う。
①学校でのしつけをきちんと身につけさせる。
②返事、あいさつ、敬語などの言葉づかいをきちんとさせる。
③学級内ルールをきちんと作る。
☆「学校でのしつけ」とは、次のような内容を言う。
・教師に提出物を提出する際には、「お願いします」と言って、教師側に提出物を下部が向くように出す。
・廊下に並ぶ際には、しゃべらない。
・プリントを手渡すときには、「どうぞ」「ありがとう」で。
など(まだ多くある)
B、「横糸を張る」とは、次のようなことを言う。
①教師と生徒がフラットな関係性を築くこと。(問題解決の場面では、教師も共に考え、共に笑うこと。子供に感謝、感動し、それを伝える。時には子供に謝る。)
②子供に追究をゆだねたら、その後はできるだけ指導は控えて、同じ学究の徒として事象や資料、題材に並んで向かい合うこと。その結果、本心から「君に負けたなあ」と伝えること。
③教師が、生徒と共に話し合うこと。(子供が困っていること、問題などに積極的に関わり、話し合い、解決する)
④教師が、生徒と遊ぶこと。
⑤教師が、生徒の良い点を伝え、誉め、励ますこと。(ハガキを書いたりすることもおおいに有効である)
⑥教室に笑いを作り、伸びやかな雰囲気を作ること。
3,方法
①教室という場で、縦糸と横糸という相矛盾する2つのベクトルを、バランス良く織物のように組み合わせ、その一つ一つの絡み合いと出会いによって、一つの模様を紡ぎ出す試みである。
②学級の最初は、まず「縦糸を張ること」から始まる。縦糸には、色と模様は不要。横糸を受け止める幅とゆとりを内包する適度な強さが必要。縦糸が粗すぎたり、強すぎたり、密すぎたり、頑なだったりしても、横糸がうまく乗らない。
③しかし、横糸だけでも織物を織ることができない。横糸は、重ねようとすると、自らの重みで崩れる。
④しっかりとした指示(縦糸)があって、豊かな心の通い合い(横糸)があるとき、子供の思いもかけない可能性が表れてくる。
⑤縦糸は強いか。また、強すぎないか。横糸を乗せることに耐えられる本数と強さか。つまり、一方的な指示や方針が出されるばかりだったり、弱気な、一貫性のない指示だったり、子供の実態から見て無理な指示や方針だったりしていないか。常に評価していくことが必要である。
⑥横糸は、豊かか。笑い(嗤いではない)や子供の発想がきらめいているか。教師と子供がフラットな関係性を築いているか。どこかに冷たい、頑なな教師の態度が残っていないか。模様に合わせて臨機応変に紡いでいるかなど、常に評価していくことが必要である。
⑦学級経営においては、縦糸は出会いから数日の間に張ってしまい、後になってからその縦糸をぶらさないことが大事。縦糸の長さを意識すべき。横糸を通そうとするとき、初めての縦糸に触れる。触れても大きくぶれないことで、横糸の通し方が徐々に分かってくる。しかし、ある程度縦糸も揺れながら横糸が通って、織物が見え始める頃には、縦糸の揺れ幅も共通化し、またそれまで織った織物が縦糸を強化していく。
縦糸を張ること、横糸を張ることが、どういうことなのかが分かってもらえると思う。
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この「縦糸・横糸」理論からすると、私が提唱した「3・7・30の法則」とは、ほとんど「縦糸を張ること」の<学級内ルールをきちんと作る>の中に含みこまれてくる。
今回、この視点で、「3・7・30の法則」の具体的展開を改訂したところである。(今までの資料と大きく変わるところはないが、縦糸・横糸理論が少し付け加えられている。今までこの資料をもらっていない方、メールで請求してもらえば送付します。テキスト形式では、罫線が出ないことがわかったので、その分含んでもらいたい)
項目は次のようになる。
①「縦糸・横糸」理論について
②「3・7・30の法則」の課題
③平成18年度 1週間の課題
④「3・7・30の法則」の具体的展開(1)<3>の法則(最初の3日間)
⑤「3・7・30の法則」の具体的展開(2)<7>の法則(最初の7日間)
⑥「3・7・30の法則」の具体的展開(3)<30>の法則(1ヶ月)
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なぜ、私がこれらのことを急いでいるかというと、来年度へ向けての布石である。
来年度も、私は、初任者担当の仕事をする予定である。
その計画段階に入っているからである。
私が受け持つ初任者が、この「縦糸・横糸」理論と「3・7・30の法則」をどのように受け止め、どのように実践していくのか。
そのためには、私がしっかりとした企画を持たなければならないためである。
初任者と私との共同作業である。
もちろん、初任者の力量が加味されるわけであるので、一概に言えることではないが、もし「縦糸・横糸」理論と「3・7・30の法則」が具体化されたとき、クラスはどのように動いていくのか、課題はどのようなことが残されるのか、…大きな試みになるはずである。
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