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当たり前を積み重ねると特別になる

 1月になって、初めて1年生のクラスに入る。7日が授業はじめだから(2学期制)2日目のクラスである。

 給食も開始になる。5時間授業である。後ろで、5時間分の授業を見る。

 とても落ち着いている。40人のクラスで、初任者は、男の先生である。

 4,5月は、やんちゃな子や落ち着かない子がいて、なかなか大変であった。ところが、9月頃からすっかり落ち着いてきた。

 クラスは、よく仕上がっている。

 12月の初任者の研究授業では、「1年生で、40人もいるのに、あんなに静かに授業に集中しているなんてびっくりした」と、いろいろな先生に評してもらったほどである。

 もはやさまざまなことで、指導をするということはない。これから、どれだけ力量をつけるかは、自ら身構えていけるかどうかにかかっている。これからは、自分で進んでいくしかない道である。

 初任者担当の仕事をしてきて9ヶ月が過ぎた。

 違った角度から授業を見ることができて、また違うような見方ができるようになった。

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 その先生と放課後話をした。

 すぐれた実践家の話になった。

 ほとんどの先生達が、誤解している。

 「日本の中で学級づくりや授業ですぐれた実践を続けている先生がいますが、ほとんどの先生が、その先生達は、何か特別な技を用いてこどもたちを鍛えていると思っているんですよ。全然違いますよ。その先生達が、特別なのは、特別な技じゃなくて、基本的なことや原則的なことを続けていく、その徹底さにあるのですよ」と、話した。

 そこのところがよく分かっていない。何かすごい実践家は、特別な技みたいなものを駆使して学級経営や授業作りをしているのだと、思っている。

 その特別技を盗みたいと願っている。その技を盗むと、自分の学級作りや授業作りが一変すると思っている。

 ほとんど幻想である。

 そんなことはない。考え違いをしている。

 その実践家が、普通の先生達と違うのは、基本的なことや原則的なことを繰り返し徹底していく、その粘り強さにある。

 じゃあ、あなたが提唱している「3・7・30の法則」は、特別技の1つじゃないかと言われるかもしれない。しかし、これは特別技でない。こんな名前を付けなくても、すぐれた実践家は、1ヶ月が学級作りにとって大切な時間だということは分かっていたのである。これは基本的な仕組みづくりであり、システムなのである。

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 パティシェ・杉野英美。この男の菓子は、本場フランスで「ほかのどこにもない菓子」と呼ばれる。15年前、日本人として初めて、世界の菓子職人の頂点に立った。それまで誰も見たこともない、まるで漆器のようなチョコレートのつや。何層にも折り重なった多彩な味わいのハーモニー。舌の上でとろけて消えていくような食感。彼の菓子は、すべてが新しかった。

 杉野は、若い頃、フランスのベルティエの菓子の虜になり、そこへ弟子入りを志願するが、断られ続け、諦めずに3年とちょっと粘った末に、ついに受け入れられた。

 杉野は、菓子作りの奥義を学べると思い、勇んで店に飛び込んだが当てが外れた。

 ベルティエは、特別な食材を使っていなかった。レシピも、料理学校のものとまったく同じだった。なのに、なぜ、あの菓子が生まれるのか?

 飾り付けのペリーは普通のもの。しかし、少しでも傷んでいれば全て取り除いた。菓子をつけ込むお酒も、一滴たりとも残さず染みこませていた。ある日、若い職人が、菓子をほんの少しだけ焼きすぎた。ベルティエは、声をあげた。「これはお客に出せない」その職人は、店から追い出された。完璧を求めるベルティエの厳しさを知る。

 どの作業も、おいしい菓子を作るためには、当たり前のこと。しかし、その全てを完璧に行っている店は、ここが初めてだった。

 「当たり前を積み重ねると特別になる」

 杉野は、言う。

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 若い実践家がいる。自分の力量を高めたいと希求している。

 求めなければ、絶対に手に入れることはできない。その意味では、まっとうである。

 しかし、私が1つだけ今まで違和感を感じてきたことがある。

 授業作りや学級作りの奥義を求めて、ひたすら本通いや研究会通いをしていることである。

 もちろん、刺激は受けるし、今まで知らなかったことを知ることはできる。

 でも、もっとも大切なことは、「外から奥義はこない。内にある自分のものをどれだけきちんと積み重ねていく徹底さ」ではないかと、私は思い続けるのである。

 そのためには、基本的なこと、原則的なことをどれだけきちんと身につけていくか、それにかかっている。

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