いつのまにかK先生は、子どもの奥深くに入り込んでいた
崩壊学級立て直し記の実践記録を書かれたK先生に、やっと電話がつながる。
「困っている先生達の助けになることですから、何とか公開をお願いできませんか」と、お願いした。快諾してもらった。
早速、実践記録をワープロで打ち直している。
ただ、打ち直すだけでなく、ある視点から分析・考察を加えたいという立場である。
もちろん、その視点は、「縦糸・横糸」理論である。とりあえず、私が分析し、横藤先生に後々付け加えてもらいたいと思っている。
ワープロで打ち直したら、その記録をK先生に送付し、加除訂正をしてもらい、それから公開の手続きに移りたい。
もうしばらく待っていただきたい。
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今回のブログに、さまざまなコメントやメールをいただいた。カウントも、一気にあがった。それはものすごいものである。
現場が、学級崩壊問題でどれほど心痛しているのか、その思いが伝わってくる。
今回のコメントの中で、iwaiさんの指摘は、ものすごく重い。
iwaiさんは指摘されている。
「その一方で、クラスを崩したことがあるわたしは思うのです。今、その初任の先生はどうされているのか。子どもたちの変貌を見て、どう思われたのか。どうしてもっと早く、助けてもらえなかったのか。崩したくて崩したわけではないでしょう。その先生の心の傷の深さを思うとき、わたしも涙がこぼれます」
同じような気持ちになられた方もあるに違いない。
私は、この指摘を深く受け止めたい。そして、こういう初任の人たち一人でも二人でも、クラスをきちんと経営していける力量を持てるように、微力だが私の力を尽くしたい。
★
初めてこのK先生が、算数の授業に入られたときのこと。この時、ドラマがあったのだが、ここではそれは書けない。
「初めは、机もバラバラ、教科書も出さず、だれも手をあげません。重苦しいトゲトゲした空気が固まっているだけです。全身で正面からぶつかっていくしかありません。どんな小さなことも、いいところを認めて、授業にまきこんでいきました。…45分のさいごには、なんとか子どもたちが集中して手もあげてくれるようになりました。」
「そのあとの中休み。『先生、子分にしてください』と、子どもたちに囲まれ、『ヤクザの親分じゃないんだからさあ…』と、みんなで大笑いでした。そして、何故か『先生、おんぶしてあげるョ』と、言われ、せっかくなので、女の子何人かに次々おんぶしてもらって、職員室まで運んでもらいました」
「3校時。どうしてこのクラスはこうなってしまったのか、子どもたちに話をききました。とにかく聞きました。とことん聞きました」
これが、子どもたちとの最初である。
巧みである。巧みという言葉は悪いが、極めてしたたかである。
全身で正面からぶつかっていくしかありません。……みんなで大笑いでした。……そして、3時間目には、もうこのクラスの問題に入っている。
どんなしたたかな教師達も、こうはいかない。クラスの問題に入っていくには、もう少し時間をかけるものである。しかし、このK先生は、遠慮をしていない。3時間目に突入している。
そして、口をはさまないで、とことん聞いている。
4校時。「紙を配りました。『今まで、やってきた悪事を、はきなさい。』と言いました。『たかだか10才で、表と裏で、いろんな悪いことをして、それをかかえたまま5年生になっては、いけないよ。ここではいて、きれいな心になって、やり直そうよ』『先生、それ読んで、ママに電話で,つげ口するんでしょ!』『しない。』『するよ~~』『しない。』『ほんと?』」というやりとりをする。
K先生は、答える。
「先生だけが読んで、あなたたちのよごれた心を食べる(?)だけ」
なんとすごい問答をしているのかな、思った。
巧みである。子どもの心に突き刺さる言葉だ。
4時間目で、いつのまにかK先生は、子どもたちの奥深く入り込んでいたのである。
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