算数の3分割指導は、効果的である
24日である。学校の終わりの日であるが、水曜日なので出かける。この日は、少人数学級担当の初任者につく日である。しかし、算数の授業は、1時間もない。
初任者は、4,5年の貯まっているテストをつけている。
テストの付け方を教える。
「テストはね。1枚1枚全部付けたりしたらダメだよ。答えを記憶できる範囲をつけること。だから、指サックをして、はやくめくれるようにする」
そのように教えると、ずいぶん速くテスト処理ができるようになる。
自分が担当している子供たちの点数の様子を聞く。
手応えは十分である。よくできているらしい。
「よかった、よかった。1月からは、もう少し3分割指導を徹底すればいいね」
ということになった。
★
3分割指導というのは、授業を3つに分けて指導する方法である。
5分間(前時の復習テスト○付けを含む)ー本時(35分)ー5分間(本時の復習問題)という流れである。
私は、大池小学校時代に4分割指導を提起している。
5分間(計算タイム)ー5分間(復習タイム)ー本時(30分)ー5分間(本時復習タイム)
なぜ4分割なのか。
クラスの子供たちに、計算嫌いが多く、かけ算九九などにもつまづきが多くいるクラスに必要な指導システムである。
普通のクラスでは、5分間の計算タイムは、必要ではない。
それでも、3分割指導は、効果的である。
まず、授業の初めの5分間に前時に解いた問題をもう一度復習する。
この時間を設けたことは、私の算数授業を画期的に変えた。
それまでは、復習は大切だと言いながら、誰でもこんなことをしてはいなかったはずである。
ある日試しに前時にやった教科書問題をそっくりそのままテストをしたことがあった。愕然とした。半分の子供しか全部合格しなかったのである。
あれほど教えたのに……。
そのとき分かったのである。このようにはっきり分からないままに1時間1時間を積み重ねても分かるようにはならない。
授業の最初に、きちんと前時の問題を解かせるようにしよう、と。
算数ほど積み重ねが要求される勉強はない。
★
「かけ算の九九ができていない場合はどうするのですか」
と、初任者が質問をした。
「前の学校では、授業の最初の5分間の計算タイムで補っていたが、普通はそうはいかないよね。その場合、九九があやしい子供には、2の段から全部言わせてみて、すぐに言えない九九や間違っている九九を英語単語帳(100円ショップに売ってある)に全部書き込ませて練習させる。私は、その時間は、給食の配膳しているときに相手をすることにしていた。もう言えるようになったら、単語帳をはずしていく。1枚1枚はずしていく。これはいいよ。6月頃までには全部言えるようにすることだね」
「ゆとり教育」が始まって、クラスで必ず4,5人の子供が九九が言えない。
そのままにしていたら、中学校までそのままで行く。完全な算数嫌いにしてしまう。
だから、必ず学校にいる間のどこかで時間を取って言えるようにしなくてはならない。
「特別に何人かの子供だけ、そんなことをすればかわいそうじゃないですか」と言う若い先生は多い。
「かわいそうなのは、九九を言えないままに次の学年に送ることだよ。全員に宣言すればいい。『九九が苦手な人はいると思う。これから苦手な人はできるようにします』と言って、まず最初は全員に九九テストをすればいい。それからできていない子供を相手にすればいい」
九九ができていない子供(どうしてもできない子供はいるが)をそのままにしている教師は、教師失格だと私は思っている。
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