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個別評定の授業です

 初任者の授業を見ながら、ずっと考え続けてきたことがある。

 初任者が、これからきちんと授業を成立させていくために、どういう方向へ向けて努力する必要があるのか、という内容である。

 とりあえず、「新卒教師が授業で身につけるべき基本原則10か条」という形でまとめてみた。(これを基本にして1年間考えてみたい)

 それを「ブラッシュ・アップ」という雑誌の連載原稿に書いた。

  1. 教師の指導言をきちんと整えよ。 発問、指示、説明を区別して発言せよ。
  2. 子供への視線を鍛えよ。
  3. 一時に一事の指示を徹底せよ。
  4. 授業は本時目標を徹底的に意識せよ。
  5. 机間巡視は、一つのことをきちんとマークせよ。
  6. 話を聞かせるルールを整えよ。
  7. 個別評定を意識せよ。
  8. テンポのある授業を意識せよ。
  9. 授業は、ノート指導と心得よ。
  10. 無駄な言葉の排除をせよ。 

 1,2,3については、先日のブログで書いた「授業成立の3条件」である。

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 「7 個別評定を意識せよ」という個別評定は、向山洋一さんの「授業の腕をあげる法則」の第9条に書いてあるものである。

 「誰が良くて、誰が悪いのか明確にする」という原則である。

 ともすれば、差別、選別になっていくと形で排除されてきた方法である。私も若い頃そのように思っていた。

 しかし、この原則は、ますます重要性を持ってきている。

 子供たちが、ますます教師の指示や指摘を自分のこととしてとられられないようになってきているからである。

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 初任者に対して、この個別評定を明確にする示範授業をした。習字の授業である。

 「もっとも習字の授業が苦手である」という若手の先生のクラスでさせてもらった。

 目標は、習字が苦手で、なかなか習字を教えられない先生が、どのようにして習字の授業をして、子供たちをうまくしていくのかという授業である。

 実を言うと、私がそうであった。

 小、中学生と一度も授業で、筆を握ったことがない私である。(どうしてそうなったのかはよく分からない。)これから池田修先生にいろいろ教わりながら、書道に挑戦したいと思っている。

 さて、授業である。4年生の「左右」という字である。

 学校で、一番書道に長けている先生のところへ行って、どこに注意しながら書かせたらいいか聞いた。そこから始まる。

 そして、担任の先生には、「子供たち一人一人の名前をパソコンで出しておいてください」と頼んでおいた。

 その名前を見て、子供たちに書かせるためである。

 4年のクラスへ行くと、緊張した面持ちで、子供たちは机に着いていた。

 子供たちに姿勢を正しくさせて、説明した。

「習字で大切なことは、ただ一つだけです。筆を立てて書くことです。油断していると、鉛筆書きになりますが、その時には、名前を呼びますからすぐ直してくださいよ」

 指導は、次のようにした。

  1. (印刷しておいた手本を配布して)まず、指書きを3回した。大切なところを指摘した。
  2. 次は、実際に手本の上から一画ずつ書いた。教師は、黒板に貼ってある手本に一画ずつ赤の墨汁でなぞりながら、書かせていった。教師が、一画ずつ書き方を説明しながら書き、子供たちも一画ずつ書いていく。
  3. さて、本番である。まず、作っておいたパソコンの名前札を配布して、それを見ながら名前を書いた。(名前を最初に書かせること)
  4. 次に、「左」の字を一画ずつ、まず教師が手本を見せ、それをまねて子供たちが書くのである。(教師は、手本の上から赤の墨汁で書くので、下手さは目立たない。書き方を教えるだけである)
  5. 「右」の字もそのように書いた。
  6. 個別評定1「これから今書いた字の点数をつけます。10点満点です。合格は8点以上。それでは一人一人つけていきます」さすがに、し~~~となった。一人ずつ「ここが小さい、3点」というように、一回目は、辛くつけていく。
  7. さて、同じように、2枚目に挑戦。3から6までを繰り返す。ただ、2回目の個別評定は、点数をあげていくことを意識する。8点、9点というのが出てくる。9点と言うと、おもわず拍手が出てきた。
  8. 3枚目である。今度は「3枚目は、自分で書いていきます。点数をつけてもらいたい人だけ点数をつけてあげます」と指示を出して書かせた。手を挙げる子供たちは多数いた。

 書かせるのは、3枚だけである。積み重ねていって上手になれば、2の指導ははぶく。

 2時間あれば、自分ではりだすまで十分な時間である。名前も、1年間続けていけば、うまくなる。

 私は、今までこのような指導を続けてきて、子供たちの習字の実力を上げてきた。

 子供たちがうまくなるので、私も指導することが楽しくなった。

 この4年生のクラスも、とにかくうまくなった。後ろに張り出してある前回の字よりも格別のうまさである。

 2人の子供が、私のところへ挨拶にきた。

「先生、今日はありがとうございました」

「君は上手だね。今習字をならっているの」

「習っていません。でも、おじいちゃんが習字の先生をしているのです」

「あなたも本格的にやった方がいいよ。おじいちゃんの遺伝があるから、きっとうまくなるよ」

という会話をした。

 

   

 

 

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コメント

私にどれほどのことができるか分かりませんが、書道ではなく書写であるのであれば多少はお役に立てるかもしれません。

>>習字で大切なことは、ただ一つだけです。筆を立てて書くことです。

これができない学習者が多いです。筆の持ち方、姿勢、呼吸法が揃うとかなり書けます。

筆が立っているかどうかを自分で注意するには、筆を持った時に親指が半紙と平行より下向きになっていないかどうかを確認することです。通常、正しく筆を持った時、親指は上を向きます。

初学者は筆をまっすぐ立たせて、体の中心に筆を置き、右側に少し寝かせて書くようにします。右に寝かせないと筆先を見ることができないので、そうします。

また、中国で筆を習う初学者が最も行うのが、も書(もの字は、お墓の墓の土が手になります)、つまりは写し書きです。中国の古典を丁寧に写し書きすること。これが初学者の行うことです。

日本の書写教育は、これを行ってきませんでしたが、も書を行うと早い子どもで三ヶ月。一年も経つとかなり書けるようになります。私はこれをお勧めします。

         ◆

書写は言語を司る左脳と、芸術を司る右脳の両方ともを活用しながらの活動になります。

右脳と左脳の両方をつなぐ部分に刺激を与えつつ、右脳と左脳を鍛えるといういことで、重要な活動だと考えています。

まとまりませんf(^^;。

投稿: 池田修 | 2008年9月26日 (金) 14時59分

 私はとても字が下手です。なんでこんなにへたなのと思うくらい下手なのです。
 担任時代、私に習字を習うのはかわいそうと思うくらい・・・。
 学校で評議員制度が導入されたときに、地域の代表として評議員さんになられたのが、自宅で書道教室を開催している町内会長さんでした。
 いろいろとお話しているうちに、何回かクラスの習字を見て上げるよと言って下さり、習字の時間に着て頂くことになりました。
 その中で。
「始筆と終筆に注意すれば違うのですよ。」と、教えて頂いきました。
 また、「子どもが筆を立てて書くのはとても難しいので筆を立てられるようにすれば良いのです。それは、椅子に座らせたまま書かせるのではなく、いすをどかせて立たせて書けばいいのです。」と。
「習字は、いかにきれいに見せるかがコツです。」とも教えて頂きました。
 先生が教えるとこどもたちはどんどんと上達していくのが目に見えました。
 結局、毎週木曜日の書写の時間、一年間習字を教えて頂いてしまいました。
 私も一緒に上達した一年間でした。
 野中先生の書写の指導を読んで、思い出しました。
 

投稿: よしドン | 2008年9月27日 (土) 06時22分

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