退職して、5ヶ月が過ぎた
大分の教員採用汚職事件の21人の方向が決まってきた。
21人のうち、自主退職を届けなかった6人が、採用取り消しになった。
14人が、自主退職である。13人が引き続き、臨時講師として採用され、一人だけは別の学校を希望したという。
理由はともあれ、正式に21人を採用した教育委員会の責任は、厳然としてある。
その意味で、6人が自主退職を届けなかったのは、筋が通っていることになる。
しかし、裁判に訴えたところで、採用取り消しの理由が明確であるためにほとんど勝訴することはないであろう。
それよりも、教育委員会が、臨時講師として引き続き担任を続けられる措置をとったことを朗報として受け取りたい。
担任たちは、子供たちに、保護者たちに、率直にありのままの事実を伝えればいい。
そして、これから全力を尽くしてりっぱな教師として成長していくことを伝えればいい。
21人の教師たち。大きな試練を抱え込んだことになるが、人生には、何度かこんな試練があるのである。
7人の教師たちのことが心配だ。しかし、まだまだ若い。思い直し、考え直し、やり直してほしいと願っている。
★
退職して、5ヶ月が過ぎた。
6月までは、講演などで引き続きの生活を強いられたが、7月頃からは、自由な時間を持てるようになった。
現役の生活をしているときには、分刻みに近い生活をしていたので、大きな生活の転換である。
時間がゆっくり流れていくようになった。
今までどれほど追い詰められた生活をしていたのかがよく分かる。
ところが、退職していった人たちに聞くと、時間をもてあますということだ。
私も、そうなるのだろうかと心配したが、まだその気配はない。
知的好奇心がなくなることが、一番の心配事であったが、これもまだ大丈夫である。
8月の暑い夏休みの間、たっぷりとれた休みを思うように読書ができた。
これは収穫であった。
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ふと手に取った佐伯泰英の時代小説である。
これに夏休み中、はまりきってしまった。
もともと藤沢周平の大ファンであった。彼の作品は、すべて読み切っている。
彼が亡くなったとき、呆然となってしまったほどである。
野口芳宏先生とある学校の校長先生と3人で話していたとき、野口先生が言われた。
「最近、大学へいく電車の中で、司馬遼太郎の『竜馬が行く』を読んでいるんだよ。今まで忙しさに紛れて、司馬の作品を読んでなかったからね」と言われたとき、その学校の校長先生が、「佐伯泰英の作品もいいですよ」と付け加えられた。
その時の言葉が残っていたのである。
最初に、「密命」を2冊読んだ。読みながら、これは、藤沢周平の「用心棒日月抄」そっくりであった。きっとこの影響があるにちがいないと思った。
それから「酔いどれ小籐次留書」を2冊読んだ。
そのうちに、次のシリーズが読みたくて、読みたくて夢中になったのである。
小説を読む楽しみが甦っている。
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今までの生活から、新しい生活へ入り直すとき、今までの自分を作り上げていたシステムをすべて篩(ふるい)にかけなければならない。
小さなちょっとした習慣も、一つ一つ篩にかけながら、……。
そうしなければ、新しい生活へは突き進めないと、…そんなことが分かってきたのである。
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