これでブログは終了させてもらいます。ありがとうございました。

 対話形式で進める。

客 ブログから卒業するということじゃないか。何か病気でもしたのかな?

主 いやいや、いたって元気だよ。

客 それじゃあ、どうしたの?

主 このブログは、もう20年以上続けてきたからね。
  始めた理由は、最初は現場からの報告みたいなものだったけど、退職してからは現場に寄り添って、教師の立場から発信してきたからね。
  それで、最近は、近況報告ばかり(つれづれなるままに)になってしまっていて、その役割がもうとっくに終わっていたことに気づいたん
だよ。

客 その近況報告で、ブログはいいじゃないの?そんなブログはいっぱいあることだし……。

主 いやいや、けじめがあるよ。自分なりの役割が終わったら、もうひきあげなくてはならないよ。元気なうちにやらなくてはと思ってね。

客 それにしても、今日時点(9/12)でアクセスが「3945306」ということだから、今まですごい数のアクセスがあったことになる
ね。

主 ありがたいね。ほんとうに感謝したい。

客 残念だね。さびしい気持ちにならないの?

主 そうだね。私は今までこのブログを基点にして、さまざまな情報発信をしてきたから、それがなくなるからさびしくなるね。
でも、それは仕方ないことだよ。始めがあれば、必ず終わりがあるから。
  始めは、勢いで始められるけど、終わりは大変だよ。

客 そうか、引き際はそんなに大変なんだ。
  でも、教育界で、あんたの歳(77歳)で講演をやったり、本を書いたりしている人は、もういないんだから、さまざまなことから手を引
いていくのは必然だね。

主 そうだね。野口芳宏先生は、米寿を迎えても元気に飛び回っておられるから、お前もがんばれという励ましは受けたけど、あんな偉大な野
口先生と比べられても、こっちが困ってしまうね(笑)。

客 それで、あんたは、これからどうしていくの?
  もう発信していく場はないんではないの?
ライフワークとして取り組んできた初任者指導の仕事も、まだまだどうにもならない段階だし、課題はかなりあるね。

主 課題は常にあるから、終わりはないよ。
  でも、初任者指導については、自分の中ではずいぶん見通しが出てきているよ。
客 どういうこと?

主 初任者は、今まで初めの担任だから、うまくいかないのが当たり前だと思われていて、
  クラスが賑やかになり、うまく軌道に乗らないということを続けてきたはずだ。
だけど、初任者でも、きちんとした取り組みをやれば、クラスは軌道に乗ることが分かってきたんだよ。

客 それは貴重なことだね。
  これから、どんどんクラスは荒れていくことは分かりきっているからね。

主 そう、そう。「多様化した子供たち」に学校は対応できなくなっていくからね。先日も、親しい知り合いの孫の学校だけど、3年から6年
生までの学年で1人ずつ先生が休職することで、学校は学年3クラスを2クラスにするなどの措置をしていると聞いたね。

客 欠員が出ても、今は誰も補充の先生はこないから、大変だ。
  これからいっぱいこんな状況が出てくることははっきりしている。
  そんな状況で、このブログを止めていくのは、心残りがあるだろうね。

主 もう77歳の喜寿を迎えたんだよ。そんなに長くやれるはずないよ。

客 これからどうするんだい?

主 それは、もう普通の老人としての生活をしていくだけだよ。
  まだまだ元気だから、家事をこなしていくことだね。
  家族を大切にするというのが、私の最大の目標だから、それに従っていくということになるよ。
  共に生きてきた人をしあわせにするというのは、もっとも大切だ。
  もちろん、今までやってきた仕事もまとめなくてはならないけど……。

 ★
 これで終わりである。

今朝は、早起きで、5時起床。
 部屋の気温は、29℃。ぬるったい暖気がたちこめている。
 季節は、まだまだ暑さが続いていて、秋の兆候はどこにもない。
 
外にでてみる。
 太陽が輝きだして、真っ青な空が続いている。
座り込んで、その「青さ」を見つめる。

 終わったんだ、と思う。
 ふしぎな風が頬をなでてゆく。
 それはとてもふしぎな、心をそよがせる風である。

 そういえば、この風は、退職のときにも吹いたことがある。
 3月31日の完全退職の日、大雨でできたみずたまりの道を避けながら歩いた帰り道。
 そのときも、吹いた風なのだ。
 「終わったなあ!」という心にしみわたる風だった。
 
 ふと、谷川俊太郎さんの「手紙」という詩をおもいだす。

手紙
  電話のすぐあとで手紙が着いた
  あなたは電話ではふざけていて
  手紙では生真面目だった
  <サバンナに棲む鹿だったらよかったのに>
  唐突に手紙はそう結ばれていた

  あくる日の金曜日<気温三十一度C>
  地下街の噴水のそばでぼくらは会った
  あなたは白いハンドバックをくるくる廻し
  ぼくはチャップリンの真似をし
  それからふたりでピザを食べた

  鹿のことは何ひとつ話さなかった
  手紙でしか言えないことがある
  そして口をつぐむしかない問いかけも
  もし生きつづけようと思ったら
  星々と靴ずれのまじりあうこの世で
 
 
 ブログでしか言えないことを生真面目に書き連ねてきたのだろうか。
 うまく伝わったのだろうか。
 ありがとうございました。
                           (完)

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つれづれなるままに~77歳の喜寿を迎える~

●8月26日は、77歳の誕生日。
 娘夫婦が、喜寿のお祝いをしてくれた。
 ほんとにいつのまにかこんな歳になっていたのだ、というのが実感である。
 ★
 最後の勤務校(もう退職して17年になるのだが)の先生たちが、喜寿のお祝い会を開いてくれた。ありがたいものである。
 それぞれに近況報告があり、それで3時間はかかる。笑い、笑いの会。

 私が、「会う人たちは永久の別れだと思って会っているのだ!」と言うと、「じゃあ、永久の別れのために2次会に行きましょう!」となって、二次会にも付き合う。
 ★
 大学時代からの親友Hからも、喜寿の祝いでプレゼントが届いた。
 私が1歳年上なので、私が先に喜寿になったわけである。
 コメントに、短歌と俳句が添えられていた。

  つつがなく春のひと日は暮れんとす 一日一善隠れて二悪(高野公彦)
  
  何もせぬことも幸せ老いの春(星野椿)
 
 ★
 「老いる」というのは、大変である。
 
 先日、ドラッグストアーに買い物に行った。
 品物を買って、精算をしてもらっていると、左ポケットにいつも入れている財布がない!
 
 頭が真っ白になって、「すみません!財布を忘れたので、精算を止めてください!」
とお願いした。
 ……
 ふと首をかしげた店員さんが、
 「お客様、すみませんが、そちらの手に持たれているのは財布ではないですか!」と。

 「えっ!」と見ると、確かに右手には財布が握られている。ガガ~ン。
 もう、ますます頭が真っ白になった。
 「ああっ、呆けが始まっている!これはまずい!」と。

 問題は、これだけでは終わらなかった。
 お金を払うのは、左の機械である。1万円札を入れた。
 じゃらじゃらと小銭が出てきた。それを先ほどの財布に急いで入れる。
 すぐに荷物をまとめ始めると、先ほどの機械のところで騒いでいる。
 「おつりに5千円がある!」と。
「あっ、それは私のおつりだ!」と、あわててかけつける。
「それは私のです、私のです!」
 店員さんは、「また、先ほどの人だ!」と思ったのであろう。
「お客様、領収書をお見せ下さい!領収書です!」と。
 もたもたしている私がいる。……
 周りのお客さんは、私を見つめている。
 …………

 あれからこの店にはあまりいかないようにしている(笑)。

 このことがあって、年寄りドライバーがブレーキとアクセルと踏み間違ってしまったというトラブルを理解できるようになった。
 これらは、いくつかの出来事が重なって、頭が真っ白になった結果なのである。
 
 これ以来、私自身を信用しなくなっている(笑)。
 ★
 養老孟司さんの『なるようになる。』(中央公論新社)を読んでいる。
 この中に、養老さんへの質問がある。
★ ★ ★
 Q47 我が人生に悔いあり、という人もいますが、養老先生はどうですか。

  人生とは、ありとあらゆる細かい出来事の積み重ねの上に成り立っているわけです。
 そう思いません?ある種どころか、全部、なりゆき。
  菊池寛は宮本武蔵の言葉が好きで、よく色紙を求められると「我(われ)事に於いて後悔をせず」と書いていたそうだけど、文芸評論家の小林秀雄は、これは「我(わが)事に於いて後悔せず」と読むべきだと言ったらしいね。「われことにおいて」だと、自分は一生懸命やってきたから後悔はない、という意味になるけれど、「わがことにおいて」だと、自分に関わりのあるすべてについては後悔しない、という意味になる。
 だから、小林秀雄は、戦後になって、戦争について聞かれ、「僕は無智だから反省なんかしない。利口な奴はたんと反省するがいい」などと言った。本当にそうだと思いますよ。
 僕も、こうして今、しゃべっていることも含め、すべてのことは動かしようのない、一番必然だと思っていて、いまさら、ああすればよかったと言ってもしょうがない、と考えています。
★ ★ ★
 私も小林秀雄に賛成。小林は、庶民に徹すると宣言したのであろう。
 私の過去も悔やむことばかりあるけど、「わがことにおいて」後悔せずとこれから生きていきたいものである。

  ★
 昨年、脊柱管狭窄症からの座骨神経痛だと診断されて、1年が経過した。
 その間に、2回座骨神経痛を患い、歩くのが大変になった。

 もともとから医者に治してもらおうという考えをもっていないので、さまざまに勉強をした。
 巡り合ったのが、『背骨コンディショニング』(日野秀彦著 アチーブメント出版)という本。
 この中の運動療法をやってみることにした。
 4つの運動がある。
 4つは、ROM(足まわし)運動、神経ストレッチ(座骨神経ストレッチ)、上体たおし、筋力トレーニング。
 私は、この中の2つ(ROM運動と神経ストレッチ)を寝る前に続けている。
 すぐに痛みはなくなった。
 お尻の後ろの痛みは、もうすっかり良くなり、座骨神経痛も6ヶ月間出ていない。
この調子でいってくれることを願っている。

 ★
 朝、いつものように6時半頃に起き出す。
 早速朝食づくりをする。
 女房が帯状疱疹になってから、私がつくるようになった。
 さっさっと準備する。我ながら手際が良くなったものだ、と(笑)。

 それから手帳にしたがって、毎日の日課をこなしていく。
 一日は、けっこう忙しいのである。

 毎日は「くりかえし」。
 
 大谷翔平で有名になったマンダラート。その開発者今泉浩晃さんは、次のように書かれていたことがある。
 「この世の、あらゆるものは、繰返しによって成立している。
  『繰返し』は、この世の『マンダ』(註 本質)だったのだ。
  ……
  『繰返し』のワザをマスターすればよい。『繰返し』のカタを理解し、
  実践すればいいということだ」

 繰り返しは、飽きがくる、退屈だ、
 という人が多いのだが、それは本質を外していくことになる。
 
 本質を外さない限り、そんなに生きることでぶれることはない。

 77歳、今日一日は元気に過ごす。明日のことなんか考えない。
 

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つれづれなるままに~オンラインを卒業する~

●6回目の「オンライン教師1年目の教室」が終わった。
 2月から月一度、夜の8:00から10:30頃まで続いた会であった。
7月で終了。

 3年間続けてきたことになる。
 今回をもって、卒業することになった。

 事務局の先生たちにバトンタッチをする。
 だから、オンライン講座はこれからも続く。
 よろしくお願いします。

 私はこうして1つ1つ卒業している。
 始めがあれば、必ず終わりがあるのは当たり前のこと。
 老害にならないようにすることである。

 「引退をされるのか?野口芳宏先生は88歳の歳になってもがんばっておられるので
  野中先生もがんばってほしい!」という声をいただく。
ライフワークとして続けられてきた初任者指導も、今のところほとんど何の見通しもないままになっているではないか、ということである。

 偉大な野口先生と一緒にされるのは、心苦しいこと。
 
 完全に引退をすることはない。まだまだできることをしなくてはならない。
 

●オンライン講座の最後に「これからの教師人生を生きる~『その日暮らし』の勧め~」を提案した。
 これから困難な現場を生きていくための処方箋である。

 「その日暮らし」というのは、マイナス的に考えられてきたが、私はむしろこれからそういう生き方をすることが求められてくると考えている。

 3つある。

 1 今日一日で勝負する。
 2 子どもの前では機嫌良く振る舞う。
 3 早く帰る。

 1 今日一日で勝負する

 教師生活の最後を、2つの困難校で過ごしてきた。
 ずっと5,6年の担任をしてきた。11年続いたのだろうか。
 「5,6、5,6……」で「ごろつき教師」と呼ばれたものである(笑)。
 心がカサカサとなるような思いが続いた。

 ここで経験して身につけたのは、「今日一日の区切りで生きる」という生活。
 大変な現実を抱え込んだときには、この言葉で生きていくんだということであった。

 「今日一日の区切りで生きる」とは、計画的にその日を過ごしていくことであった。
 そのためには、手帳術が必要になる。手作りした手帳を紹介した。
 この手帳に従って、粛々と実行する。
 そして、1日を終わる。
 そういう日々を繰り返していく。
 これで困難な現場を生き抜いていくのである。

2 子供の前では機嫌良く振る舞う

 これは一番むずかしい。
 クラスがうまく行かなくなると、どんな先生でも表情は暗くなり、無表情になる。

 思想家で、武道家の内田樹さんは、次のように言われる。

 「現場の教師のみなさんには、できるかぎり機嫌良くお仕事をしていただきたいと私は思っている」
 「人間は機嫌良く仕事をしているひとのそばにいると、自分も機嫌良く何かをしたくなるからである」

 こう言うと、機嫌が良くない状況にさらされているのに、機嫌良くできるはずはないではないかと反論されるだろう。
 
 内田さんもそのことは分かっておられて、次のようにも答えておられる。
 「膨大なペーパーワークに文科省や教育委員会からの締め付けに保護者からのクレームに勉強どころか基礎的な生活習慣さえ身についていない生徒に囲まれて、それでも『機嫌良く』仕事をしろというのが無理な注文であることは私にもわかっている」
 「でも、そういうときだからこそ『機嫌良く笑ってみせる』ことが死活的に重要だと私は思う」と。
 「死活的に重要だ」と言われている。

 私は、「これからの現場では、この機嫌良さが最高の武器になる」と言い切っている。

3 早く帰る

 真面目な先生方に、「仕事が多くあるのにそんなに早く帰れるわけがないだろう!」と反論されるだろう。分かっている。
 それでも学校に残って仕事をするのは、3年目までである、と。

 どうして早く帰るのか?
 仕事人間にならないためである。

 人は仕事だけで人生を覆い尽くせるわけではない。
 夫婦の時間があり、家族の時間があり、そして自分の時間が必要である。

 そんなに多くの仕事があるわけではない。
 私は、そのようにずっと考えてきた。
 多くの先生たちは余計なことを、時間をかけてやっている。
もっと仕事は絞るべきだ、と。
 そのように「仕事の仕方に問題がある」と言い続けてきたわけである。
 
 じゃあ、どのように仕事をしたらいいかということで、次のような本を書いた。
 『必ずクラスを立て直す教師の回復術』(学陽書房)

 私は37年間の教師生活のテーマの1つは、仕事術だったのである。
 この本に、その紹介をしている。
 参考にしていただきたい。
 
●先日、横浜市の小中の校長に行った講演の感想が送られてきた。
 全員の感想が載せられていた。

 だいたい感想は好意的に書かれるものである。
 それを差し引いても、圧倒されるほどの好意的な感想で、うれしくなった。

 「具体かつとても分かりやすい話で聞きやすかった。実践に裏打ちされているので、
  説得力があった」

「元気が出る話でした」

 「講師の飽きさせない話術が、大変参考になりました」

 「野中の先生のお話のテンポや温かさが心地よく、癒やされ、元気が出ました」

 「普段の講師とは違った視点での話があり、とても良かったと思います」

 日頃の研修会で聞くえらい先生たちの話とはおおいに違ったらしい。
 それだけでも新鮮に聞けた、と。。
 
 もう校長は、名誉職でもなんでもなく、ともすれば苦情処理係になって日頃苦しんでいるはずである。
 その中で、私の話はほっとしたのであろう。
 ほんとに良かったのである。

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つれづれなるままに~すごい本に出会った~

●知り合いの4人からコロナになったと連絡があった。
 これはどうしたことだろうと、新聞に掲載された「定点あたりの新型コロナウイルス感染者数(7月1日~7日)」を見る。
 全部の都道府県で感染者数が上がっている。びっくり。

 その中で、ベスト5が次のようになる。

  1位 沖縄     29.92
  2位 鹿児島 23.13
  3位 宮崎     19.74
  4位 熊本     18.24
  5位 佐賀     16.31

 なんと九州ばかりである。
 これはどうしたことであろう。

 知り合いは、病院では4月から3倍にコロナ患者が増えている、と伝えてくれた。
 
 若い人たちはほとんどがもうマスクをしていない。
インフルエンザの流行とほぼ同じように感じられているのであろう。
 ニュースによると新しい変異株で流行している、と。

 後遺症に悩む人が多いと聞いているので、やはり注意が必要である。

●すごい本に出会ったものである。
 ほとんど志を同じくする同士に出会ったと思ったほどである。

 『続ける思考』(Discover 井上新八著)

 この人、ブックデザイナーとして有名な人である。
 その人が、初めてこの本を書いている。

 「わたしはコツコツと積み上げた先に人生が切り拓かれると思っている。
  小さな継続の連続がいつか大きな変化を生む、そのことをこの20年実感し続けてい る。
  人生に革命を起こすのは、生まれ持った才能でも、驚くべき発明や、天才的なひらめ きでもなく日々の小さな積み重ねだ。
  目に見えない小さな変化を続けていくことで、いつかまったく違う自分になったこと に気がつく瞬間が訪れる。 
  それが「続ける」ことの力だ」

 「自分がいちばん、打ち込んでいるもの。
  これだけは誰よりも打ち込んでいると胸をはって言えるもの。
  そんなものがあるのだろうかといつも考えていた。

  ある日、突然ある言葉が降ってきた。
  『趣味、継続』
  『わたしにとって継続は趣味だ』この言葉が突然降ってきた」

 「継続」がいかに人生を切り拓き、そしていかに継続できるかを明らかにしている。

 私も、「継続」だけが自分の長所だと思ってきたのだが、これからは「私の趣味は、継続です」と言うことにしようと、この本を読みながら思ったものである。

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第6回「オンライン教師1年目の教室」開催のお知らせ

 第6回オンライン講座

1学期を振り返る
2学期へ向けて~夏休み明け1週間の法則~

第5回のオンライン講座では、授業を中心に提案しました。
 
 今回は7月27日(土)最後の講座になります。
 
 1学期を乗り越えられることは、最大のハードルを乗り越えたということになります。
 今回は、2学期に向けて、夏休みの間にどんな準備をしておいたらいいかについて提案します。
 2学期の最初の1週間が、クラスを立て直す最後のチャンスと考えていいのです。そこへ向けてどうするのか、ということになります。
 どうぞご参加ください。
 
1 対象者 30名限定
①2024年度初任者
②初任者と一緒に学級経営を学び直したい先生
③初任者指導を担当する先生

2 参加費 1回ごとに チケットを購入してください。
 1000円

3 期日 1学期の期間
○2月から7月まで月1回の講座

2月(2月24日<土>)知ってほしい!初任の先生がよく失敗する事例
その対処法 (終了しました)
3月(3月16日<土>)勝負の1週間!1週間をどう乗り切るか(終了しました)
4月(4月13日<土>)クラスの軌道チェック (終了しました)
最初の授業づくり①(終了しました)
5月(5月18日<土>)1ヶ月を振り返る これからの方針(終了しました))
6月(6月15日<土>)毎日の授業をどう乗り切っていくか。(終了しました)
7月(7月27日<土>)2学期へ向けて

4 時間帯
○土曜日
○20:00~20:50 野中の講座
 5分休憩
20:55~21:05 水谷の講座(学級経営のワンレッスン)
 5分休憩
21:10~21:35 秦の講座(初任者指導の現場から)
21:35~22:00 初任者の質問タイム(25分を予定)

5 講座講師紹介

◎野中信行 元横浜市小学校教員 初任者指導アドバイザー
○横浜市で37年間担任として過ごす。退職後、3年間初任者指導に当 たる。現在は、教育委員会と連携して初任者指導を担当している。
○初任者関係の著書に、新卒教師時代を生き抜くシリーズとして『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づく   
り3原則』『新卒教師時代を生き抜く授業術』(共著)<明治図書>
『教師1年目の教科書』<学陽書房>
○初任者指導教師向けに『初任者指導の教科書』<共著、明治図書>
○現役時代を含めて、25年以上初任者指導を務めている。

 

◎秦安彦 元大和市小学校校長 H30年度神奈川県校長会調査研究部長
○大和市で37年間勤務。退職後の3年間を含め、10年間初任者指導
にあたる。現在は拠点校指導員として4名の初任者指導を担当。
○初任者関係の著作に、新卒教師時代を生き抜くシリーズ『2W仕事術
〜初めて教壇に立つ先生のための日々の心構え』<明治図書>

 

◎水谷陽一 大和市立小学校教諭 オンライン事務局
○療育施設職員・学童職員を経て、現3年生担任。公認心理師。「味噌 汁・ご飯」授業研究会会員。
○心理学の視点を入れながら学級経営を行うとともに、若手の育成を行っている。
○主な著書には『日々のクラスが豊かになる「味噌汁・ご飯」授業算数科編』(明治図書 共著)、『ここだけはおさえたい!教師1年目の授
業づくり』(学陽書房 共著)などがある。

 

6 申し込みは以下のところからお願いします。

https://peatix.com/event/4024639

 

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小中の校長先生たちに訴える

 7月5日に、横浜市立義務教育学校 個別支援学級設置校校長研修会に呼ばれて講演を行った。
 西公会堂という会場に300人ぐらいの校長が集まっておられた。

 テーマは、「子どもを大切に育てる教育を考え直したい~若手教員の育成を中心に~」。

 このテーマで7つの提案をした。

  1 横浜今昔物語
  2 今、学校現場で起こっていること
  3 なぜ、学校現場で「荒れ」が広がるのか?
  4 クラスが荒れてきたらどうしたらいいか?
  5 学級がうまくいくかどうかの岐路はどこか?
  6 やんちゃな子供との「関係づくり」をどうするか?
  7 初任者指導のあり方を考え直したい!

 「校長先生たちの学校で、今荒れているクラスはありませんか?」という私の問いかけは切実なものだったと思われる。
 どこの学校でも、1つか2つの学級は6月から7月にかけて荒れていっているはずだからである。
 真剣に聞いてもらった。

 最後に、「7 初任者指導のあり方を考え直したい」で先日新聞紙上でとりあげられた
新任教師の自殺で遺族が提訴された問題をとりあげた。

 2019年のこと。福岡の小学校教諭24歳が自殺された。
 遺族は、長時間労働と指導教諭のパワハラで提訴された。
 「憧れの教壇に立ち始めて半年も経たずに、死に追いやられたのはなぜか?」という問いかけである。

 毎日新聞によれば、その先生は、自殺の3,4ヶ月前に親友にラインを入れている。

「超絶ブラック パワハラ受けてます(笑)」と。
笑いを含ませている。
 3,4ヶ月前はまだ少しの余裕があったのだろうか。

 その先生の遺書は、次の内容である(毎日新聞による)。

  ひとのためにと思って、ついた職業。
  あこがれた仕事。
  自分が向いていなくても必死で勉強しても、自分の性格が変わらなかった。
  子どもにめいわくをかけてしまう……。
  大好きな子どもなのに……。
  こんなことなら、生きていても仕方がない
  今までの謝罪や、罪ほろぼしになればと思う。
  さようなら

 残念としか言いようがない。
 だが、初任者指導を長年やってきた経験から、冷静にこの遺書を読む。

 「自分が向いていなくても必死で勉強しても、自分の性格が変わらなかった」
 と書かれている。

 「自分が教師に向いていない」という思いが、この半年に起きたわけである。
 長時間労働が、この思いを招いたとは思えない。
 多分、学級の子供たちが思うように動かなくて、学級が荒れていったのであろう。
 クラスが軌道に乗り、子供たちとの関係がうまくいっていれば、どんなに長時間労働でも何とか持ちこたえる。24歳という若さがあるから。

 だが、教師を辞めていく初任の先生は、ほとんどこの言葉を残す。
 「担任の先生に憧れて教師になったのに、自分は教師に向いていないということが
  分かりました。子供も嫌いになっています」と。

 ただし「教師に向いていない」タイプは1つある。
 「人付き合いが苦手な人」である。
 確かにこのタイプは向いていない。四六時中子供たちと付き合わなくてはならないから。
だが、こういうタイプの人は、教師になろうと思わないはずである。
 教員養成大学に行くはずがない。

 あとの人は全部教師に向いていると、私は思っている。
 私の場合、子供が好きだということはなかった。
 だが、子供と付き合っていると自然とそのおもしろさに気づいていった。
それは思いもよらないことであった。

 この先生が「向いていない」と思ったのは、ちゃんと原因がある。
 しかも、1つの原因である。

  「やり方に失敗しただけ」

 最初の「学級づくり」にも、子供たちと「関係づくり」をするにも、「集団づくり」にも、そして「授業づくり」にも、基礎・基本の原則がある。
 それをやらないと、よく失敗するのである。

 残念ながら、大学はこんな学級経営の基礎・基本を教えていないことが多い。
 だから、初任者指導の先生が意識して教えなければならない。
 
 だが、これも現状では大変困難な課題になる。
 学級を軌道に乗せるためには、授業を軌道に乗せることが必須の課題だと思い込んで、必死になり、毎日のように指導案を書かせていく指導の先生がいる。

 そのために、指導案書きで初任者を疲弊させ、かえって学級崩壊をさせていく事例を何人も見てきている。
 
 授業を指導しても(それも必要なことだが)、すぐにはうまい授業ができるはずはない。
 当たり前ではないか。

 そんなことよりも、最初は「学級づくり」を指導していくと、すぐに学級は軌道に乗ってくる。学級が安定していくと、初任者の下手な授業でも子供は一生懸命ついていく。
 私たちの初任の頃はそうではなかったか。
 ★
 このようなことを小中の校長先生たちに話した。
 真剣に聞いてもらった。
 
 暑い1日。歩いているだけで汗が噴き出てくる。
 それでも校長先生たちに訴えることができたと満足して帰ったのである。
 
 

 


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つれづれなるままに~朝起きての楽しみ~

●愛知県の海部地区小中学校女性役職会の先生方への講演へ行く。
 教務主任、校務主任の先生たちばかり。
 それも女性の先生たちばかり。

 こんな会で講演をするのは、初めてである。
 「緊張しています!」と言って話し始めて90分びっしり。

 最後の勤務校での話を最初にする。
 子供たちに「私は怖い話に、汚い話に、おもしろい話が得意です!」と言って、その話を少しする。
 とくに、汚い話をする。
 女性の先生たちには参考にならない話ばかり(笑)。

さすがにレベルが高い先生たちばかりで、その聞き方がうまいのである。
 こんなに話しやすい講演も久しぶり。

 18:30から始まり、20:00に終わり、そのまま近鉄線で名古屋駅に向かう。
 家に帰り着いたのは、12:00少し前。
 
●ミニトマトの苗を8本、プランターに植えている。
 毎日収獲があり、うれしい悲鳴である。
 10個程度毎日収穫があり、トマトは買ってくることがなくなっている。
 ただ、少し固くて甘く感じないのが残念だが……(笑)。
 
昨年から本格的に植え始めて、動画で勉強をして育てている。
 今年は、再生土と、培養土を使って育てている。

 毎日、朝起きて収穫へ向かう。それが楽しみ。

●いつも楽しみに見ているテレビがある。
 NHK日曜日6:00からの「72時間」という番組。
 
 いつからか見るようになった。
 72時間(3日間)、そこにとどまって、そこに来る人々を映し出すのである。

 何の事件も、何の驚きもない。
 ただ、そこに集まる人の、いつも通りの普通の姿が映し出される。

 6月23日(日)は、北の大地(帯広)で行われるばんえい競馬であった。
 さまざまな人が、競馬の馬券を買っている。
 何の華やかさもない。
 1枚100円で、1位になった馬券が340円になる。
 そんなたわいもない賭け事。

 だが、集う人々のさまざまな人生が映し出される。
 それを見ながら、「ああっ、こういう人の、こういう人生があるのか!」と納得する。

 よくこんな企画を考えたものだと感心する。 
 
 

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授業は大失敗だったが、「わかりやすい」授業だったのである!

 神奈川県のA町のN小学校へ行く。
 あいにくの大雨。完全防備で行く。

 この日は、初任の先生(4年生)のクラスで算数の授業をすることになっている。
 苦手な教科である(笑)。
 そして、「学級づくり」と「授業づくり」の講座。

 近隣の学校からも初任者の先生たちが駆けつけてこられている。
急きょ、人数の関係で、授業会場が教室から多目的室へ変更になる。
 
 授業の10分前に多目的室へ行くと、子供たちは待っていてくれた。
 まず、自己紹介。
 いつもの調子で子供たちを笑わせる。
 子供たちの雰囲気をやわらげるにはもってこいである。

 それから算数の授業を始める。
 この学校は40分授業。
 「小数のしくみ」の第1時間目の授業になる。

 結局、その授業は大失敗。
 練習問題まで行かないで終わる。

 やはり、算数の授業はむずかしい。しみじみ感じる。
 飛び込み授業なために、やることを一々説明しなければならない。それで手間取ってしまったのである。
 
1 「わかりやすい」授業だったという子供たちの感想

 
 ところが、ところがである。
 授業後に書いてくれた子供たちの感想を見ると、「授業がわかりやすかった!」と書いてくれた子供が、19/23人中いた。これは、これは予想外であった。

「すごくわかりやすかったです。
授業あっというまだったので、もっと時間のばしたかったです」(Hさん)

「野中先生のじゅぎょうは、すごくわかりやすかったです。ぼくは、小数の勉強が苦手でしたが、小数の勉強がたのしみになりました。またぜひ算数を教えてもらいたいです」(Kくん)
 
 外国籍の子供で「発語、発話は困難」と指摘されていたPくんは、次のように書いていた。
「自分のにがてな算数だけどのなか先生がくわしく教えてくれてとっても分かりやすかったです」(Pくん)

 また、もう1人の外国籍の子供。
「すごくわかりやすくて、わかんなかったらはずかしいと思ったけどふつうにこのじゅぎょうでわかんないことではずかしくないと思いました」(Yさん)

 どこで子供たちは「分かりやすい」と感じてくれたのか。
 それは分析にあたいする。

2 授業展開は、このようなものだった!
 
 どんな授業をしたのか、ということである。
 もちろん、「味噌汁・ご飯」授業。
 教科書の流れに従って、その通りに進んでいく授業。何の、工夫も、おもしろさもないものである。
 授業の展開は、「小刻み学習法」である。
 インプットとアウトプットを小刻みに繰り返していく授業法になる。
 
 授業分析の結論は、結局子供たちは、この小刻みな学習のくり返しに引きつけられたのではないか、ということになる。

 どのような展開をしたのか?

 ①単元名や今日の問題、学習のめあてや設問は、私が先に読み、子供たちが追い読みをするパターン。音読で進めていくのである。

 ②基本的に列指名をし、ところどころで挙手指名にする。

 ③話し合いは、ペア相談(3人のところもあったが)。
  学習のめあてで「これまでに学習した小数と、まだ学習していない小数の、にているところとちがうところなどを話し合ってみよう」のところ。「にているところ」を20秒、「ちがうところ」を20秒、話し合わせた。そして、挙手指名。

④ノート指導1。
  単元名「5 小数のしくみをしらべよう」、学習のめあて「0.1Lより少ないかさを、L単位で表す方法を調べよう」は、ノートに書か
せる。
  その場合、「今から野中先生が書きます。4年生のスピードで書きます。書き終わってから5秒待ちますので、その間に鉛筆を置いた人は
4年生のスピード合格!」と伝える。もたもた書かせない。

 ⑤ノート指導2。
  「ノートに書くときには、指2本空けて書きます。詰めて書かないよ」と伝える。

 ⑥設問に正解したら、赤鉛筆で○をつける。

  ……………………
  
 このような展開になる。
 ほとんどが、「小さなアウトプット」と名付けている学習作業を小刻みに入れるのである。
 これが効果を発揮したのではないか。

 子供たちは、日頃ゲームに明け暮れている。1つ1つのハードルをクリアして前に進んでいく。スピード感いっぱい。
 私の授業は、このゲーム感覚に近い印象を与えたのではないか?
 それが「分かりやすい」という感想の正体ではないかと、想像してみたのである。
 
3 列指名をするために心がけたこと
 
 事前に座席表を送ってもらって、全部の子供たちの名前を覚えていく。
 その中に、担任から「指名をしないでほしいという子供」もいる。
 普通、列指名で全員参加の授業を試みるのだが、どうしていくか迷う。
 それでも、列指名でやってみるかという判断。

 まず、冒頭で1人のKくんに指名する。しっかりと正答を答える。
 そして、続けて「野中先生は、今日このようにどんどんみんなに当てていきます。自分の答えを言えばいいのですが、答えが分からない場合があるよね」「そんなときは、『分かりません』と堂々と答えるんです。分かりませんもちゃんとした発表です。練習してみましょう!」と。

 このように言ったために、子供たちを安心させたようである。
 
 「野中先生のじゅぎょうは手をあげなくてもさしてくれたりしたのでいつも当てられることはないけど発表できました。書けてなくてもだいじょうぶだからと言ってくれたのでいつもよりあんしんして発表できたし、わかりやすかったので楽しかったです」(Uさん)
 

4 「だからこそやる気を出せてがんばれました」
 
 いちばん気になっていたのは、指名をしないでほしいと担任の先生から指示があった子供Sさんである。みんなの前で発表することが極度にできない子供らしい。
 
 だが、思い切って列指名で当てていったのである。
 私の方がどきどきした。
 しかし、案ずる必要はなかった。
 大きな声で、きちんと正答を答える。
 良かったのである。

 このあとの感想では、この子は、次のように書いていた。

「とてもわかりやすかったです。ほかの先生が見ていてみんなの前でよむのはきんちょうしたけど、だからこそやる気を出せてがんばれました」(Sさん)

読みながら、感激した。
きっとふっきれたのであろう。
これからに希望をもたせる。

5 「小刻み学習法」は、最適な学習法!

 算数でおもしろい単元や楽しい単元などほとんどない。
 学習指導要領で教えることが決まっている。
 だから、日頃の授業は、つまんない授業になることは仕方ないことである。

 しかし、「スカスカの授業」は避けなくてはならない。
 「聞きザル、見ザル、読みザル」のように、「なんとなく聞き、なんとなく見て、なんとなく読む」ような授業を行えば、子供たちに学力を身につけることなんてできるわけがない。

 どうするか。
 
 授業に集中させることである。
 今回展開した「小刻み学習法」は、そのための最適な学習法になると自信を深めた。

 今まで日本の授業研究では、「ネタ開発」としてさまざまな教材を開発されてきた。
 それはそれで大切なことである。
 でも、授業展開としてこのような工夫をすれば、子供たちは「わかりやすい」と言ってくれることが分かったのである。これは貴重なことではないか!
 

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クラスが荒れてきています!(2)

 クラスがざわざわして落ち着きません。
 どうしたらいいのでしょうか。
 こんな相談が初任の先生から舞い込む。

 実際にそのクラスの状況を見ていないので、きちんとは答えられない。
 それでも、この相談は、初任のクラスでは、当たり前に起きてくることでいつものことなのである。
なにせ初任のクラスの8割は荒れると言われているのである。

 文科省の調査によると、採用から1年未満で辞める初任の先生は、2022年度は635人で前年度比98人増である。
 そのうち、精神疾患で辞めた初任者は、229人。
 いずれも、データがある09年度以降で最多になった、という。

 6月の時点でどんな荒れ方をしているのか?

 ①クラスがざわざわして落ち着かない。つねに、おしゃべりをしたり、
  後ろを向いたりして落ち着かない。
 ②担任の話に耳を傾けない子が何人もいる。
 ③担任の指示にさっと動かないで、だらだら、のろのろ動く。
 ④ただ、一応席にだけはついている。

 
 こんな様子だろうか?

1 授業がつまんないからだよ!

 さて、こんなクラス状況に対して、どのような助言をするのか?

 こんなクラスは、ほとんど最初の「学級づくり」に失敗しているのである。

 失敗のパターンは、だいたい決まっている。

  A 落ち着かないやんちゃな子供にしょっちゅう指導を繰り返している。
  B 何とか授業で落ち着いた子供たちにしていこうとする。

 うまく行かない。
ますますクラスは荒れていく。

 指導する先生たちは勘違いしている。
 最初から授業の指導ばかりになっている。
 授業を何とかうまくさせれば、クラスは軌道に乗ると思い込んでいる。
 
 クラスが荒れてくると、「先生の授業がつまんないからだよ!」と指摘する。
 初任の先生は、必死になって教材研究を繰り返す(といっても、指導書を丁寧に読み、指導案を書いたりして)が、一向にクラスは良くならない。
 そして、先述した「辞めていく」という事態が起こっているのである。

 初任の先生たちに、最初からうまい授業なんか期待する方が無理であることがわかっていない。
 授業をこなしていくだけで必死なのに、おもしろく、楽しい授業になるなんて雲の上の課題である。
 指導する先生だって、いつもはつまんない授業をしてきたのではないか(笑)!

 やんちゃな子供にしょっちゅう働きかけるというのも、無理なことである。
 働きかければ働きかけるほど、反発をうけ、ますます関係はこじれていく。

 要するに、うまくいかない。
 じゃあ、どうすればいいかということになる。
 
2 最初は、「学級集団」へ働きかけて行く!
 
 「学級集団」に働きかけることである。
 そのための「学級づくり」をするのである。

「学級づくり」で、学級を軌道に乗せていくのである。
 そのための基礎・基本がある。

 学級は、組織の有り様としてほぼ「2:6:2の法則」によって成り立っている。
 最初の「2」は、真面目派の2割、次の「6」は中間派の6割、最後の「2」は、やんちゃの2割でだいたい構成されている。

 学級を軌道に乗せるには、最初の2割の真面目派が、きちんと学級で活躍できるような基盤をつくることなのである。
 これが「学級づくり」の決め手である。

 目立っているやんちゃな子供は、ただ目立っているだけで決め手ではない。
 学級が軌道に乗れば、やんちゃは目立つだけで暴走することはない。

 とりあえず、荒れているクラスへの助言は、次のようになる。

 ①学級で問題を起こしているやんちゃな子への対応は、もうそこそこにしてとりあえず放置しておきなさい。やっても効果はないから。

 ②どうしても授業の邪魔をするなら、学年主任、校長に話して学校として対応してもらう。

③(組織の法則「2:6:2の法則」を説明してから)そんなことより、学級の真面目派は今じっと座っている状態だろうから、その子たちへ
向けて働きかけをしなさい。

④ベクトルの向きをやんちゃな子から真面目派の子供たちへ向け直しなさい。

⑤先生がすべきことは、
  A 子供たちの前では毅然としていること(笑顔で対応できたらもっと良い)
  B 先生が出した方針はころころ変えないで一貫性を持たせること
  C 真面目派の子供たちが、先生の指示に素早く対応できるようになったら、どんどん褒め、認める言葉かけをしなさい。
D 授業では、どんどんフォロー(褒めたり、認めたり)を出すこと。
    「いいね、すばらしい、さすがだね」などで良い。
    授業を変えるのは、このフォローを入れるだけの1つだけで良い。

⑥ ポイントは、時間のこと。学習のスピードを上げること。荒れてくると、スピードがなくなってくるから、素早く活動できるように意識  
   すること。とくに、授業の時間、掃除、給食の時間などはきちんと時間を守っていくこと。

 こんなことになる。

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第5回 「オンライン教師1年目の教室」を開催します!

 第5回 オンライン教師1年目の教室

          毎日の授業をどのように乗り切っていくか?
          やんちゃ対応をどうするか?
 

   4回目のオンライン講座では、1ヶ月が過ぎて、クラスがどのようになっているかを点検しました。
  
 第6回の講座は、6月15日(土)です。
 授業についての2回目の講座です。毎日の授業をどのように乗り切っていくかについて考えます。
 今、初任の先生たちは、毎日の授業をどのようにこなしていくかについて一番悩んでいます。これについての処方箋を提起したいと思います。
 また、やんちゃな子供への対応の2回目の提案です。
どうぞご参加ください。

1 対象者 30名限定
① 2024年度初任者
②初任者と一緒に学級経営を学び直したい先生
③初任者指導を担当する先生

 

2 参加費 1回ごとに チケットを購入してください。
 1000円
3 期日 1学期の期間
○2月から7月まで月1回の講座。

2月(2月24日<土>)知ってほしい!初任の先生がよく失敗する事例
その対処法 (終了しました)
3月(3月16日<土>)勝負の1週間!1週間をどう乗り切るか(終了しました)
4月(4月13日<土>)クラスの軌道チェック (終了しました)
最初の授業づくり①
5月(5月18日<土>)1ヶ月を振り返る これからの方針(終了しました)
6月(6月15日<土>)毎日の授業をどう乗り切っていくか②(仮)
7月(7月27日<土>)1学期を振り返る 2学期へ向けて(仮)

4 時間帯
○土曜日
○20:00~20:50 野中の講座
5分休憩(質問コメントタイム)
20:55~21:05(10分)水谷の講座(学級経営のワンレッスン)
5分休憩(質問コメントタイム)
21:10~21:35(25分)秦の講座(初任者指導の現場から)
21:35~22:00(25分)質問タイム(25分を予定)

5 講座講師紹介

◎野中信行 元横浜市小学校教員 初任者指導アドバイザー
○横浜市で37年間担任として過ごす。退職後、3年間初任者指導に当たる。現在は、7,8の教育委員会と連携して初任者指導を担当して
いる。
○初任者関係の著書に、新卒教師時代を生き抜くシリーズとして『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級
づくり3原則』『新卒教師時代を生き抜く授業術』(共著)<明治図書>
『教師1年目の教科書』<学陽書房>
○初任者指導教師向けに『初任者指導の教科書』<共著、明治図書>
○現役時代を含めて、25年以上初任者指導を務めている。

◎秦安彦 元大和市小学校校長 H30年度神奈川県校長会調査研究部長
○大和市で37年間勤務。退職後の3年間を含め、10年間初任者指導
にあたる。現在は拠点校指導員として4名の初任者指導を担当。
 ○初任者関係の著作に、新卒教師時代を生き抜くシリーズ『2W仕事術
〜初めて教壇に立つ先生のための日々の心構え』<明治図書>

◎水谷陽一 大和市立小学校教諭 オンライン事務局
○療育施設職員・学童職員を経て、現3年生担任。公認心理師。「味噌汁・ご飯」授業研究会会員。
○心理学の視点を入れながら学級経営を行うとともに、若手の育成を行 っている。
○主な著書には『日々のクラスが豊かになる「味噌汁・ご飯」授業算数科編』(明治図書 共著)、『ここだけはおさえたい!教師1年目の授
業づくり』(学陽書房 共著)などがある。

 

6 申し込みは以下のところからお願いします。

https://peatix.com/event/3956758

 

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